りつかヒロイン-001
ご神託チャット▼
☆転生主人公 なに!? なに!? えっ、本当に何!? 怖い怖い怖い怖い
◇名無しの神様 お、おおおおおちおちおちち
◇名無しの神様 おちけつ!
◇名無しの神様 何でワイらまで慌ててんだよ
◇名無しの神様 ド派手な爆発音したな、こんなイベントあったか?
◇名無しの神様 ある訳ないだろ! いい加減にしろ!
◇名無しの神様 存在しないイベントしか起こらないことに定評があるRTAだぞこれは
◇名無しの神様 もうRTA名乗るのやめろ
◇名無しの神様 ひ、ヒロインレースとしては善戦してるから……
◇名無しの神様 ほんとぉ?
◇名無しの神様 とにかく状況把握が優先だろ。ボケナスに死なれても困る
◇名無しの神様 う~ん、響き渡る悲鳴と怒声。それから連鎖する爆発音。これは……一体!?
◇名無しの神様 明らか襲撃されてんだよなあ……
◇名無しの神様 まあ安牌なところでいけば堕ち人か?
☆転生主人公 ……いや、これ呪術騎士だな
◇名無しの神様 ワロタ
◇名無しの神様 全然ワロエんくてワロタ
◇名無しの神様 ちょっと前にお手々繋いで仲良く破滅撃退戦とかしてたのに……
Δ名無しの爺様 へぇ、こんなところあったんじゃのう。なるほど、神との談笑場所、か
◇名無しの神様 は? おい、誰だこいつ
◇イカした神様 これ……アクセス先すぐそこなのに、特定ができん。は?マジで誰? 分からん分からん!
◇名無しの神様 日之守ってわけじゃないよな!?
◇名無しの神様 無い無い、そもそも日之守には弾かれるって話だろ
◇名無しの神様 じゃ、じゃあ誰なんすか、こいつは……
◇イカした神様 し、しりゃん……転生者は二人しかいれとらんし……
◇名無しの神様 アテナせんせーと同類っぽいなこりゃ
◇名無しの神様 こっちを認識したのみならず、干渉までする現地人って何だよ……
◇名無しの神様 こ、こえぇ~……
◇名無しの神様 ボケナス、マジで頼むぞ。最悪逃げてでも生き残れ
☆転生主人公 こ、こえぇ~……ブルっちゃったよ
◇名無しの神様 お前もしかして結構余裕じゃない?
☆転生主人公 いや全然、よゆうなわ
【魔法魔術VS呪術】蒼天に咲く徒花 バグキャラ日之守甘楽 攻略RTA【VSダークライ】
「日之守!?」
運ばれた医務室でぐったりとしていれば、飛び込んできた立華くんが悲痛な声を上げた。
女性らしい、高い声で、少しだけ音が耳に残る。
こいつ、本当にデフォルトで女性モードじゃん……と思ったが、この緊急事態に魔力神経を稼働させていなかったら、自殺志願者も良いところである。
魔力を使えば性転換してしまう体質である以上、それは当然と言えば当然だった。
「あー……うっす、元気してた?」
「暢気なこと言うな! どうしたんだ、君ともあろうものが!」
「や、俺を何だと思ってんの……不意を打たれちゃってな。まあ平気だよ、取り敢えず傷口塞いでもらったから、少し休めば戦える」
とは言え、体内を駆け巡ってるらしい呪力は完全に消えた訳ではないので、万全とはほど遠いのは事実であるのだが……。
そうだとしても、戦うことは可能だ。無理を通せば道理は引っ込むからな。
アドレナリンをドバドバに出せばまあ、何とかなるだろ。
「呪力、か……なあ、日之守。僕に一つ、考えがあるんだけど」
「考え? 戦いには行かせないとか、そういう系の話じゃなきゃ何でも聞くけど」
「うん、そこは分かってる。だからちょっと、目を瞑ってくれないか?」
「は? まあ……おっけ」
何だろう、一発ビンタでも決めて、活を入れたりしたいのだろうか。
痛いことは普通に遠慮したいところであるのだが、無茶をするなと言われておいて、ゴリゴリに無視をしようとしているのだから、そのくらいは受け止めるべきだろう。
一発で済むなら安いもんである。
さぁ来い! と深呼吸をしてから、ギュッと目を瞑った。
「んっ」
想定していたような衝撃は来なかった。代わりに、それを上回る衝撃が、脳へと響き渡る。
柔らかい感触と、異物が入り込んでくる感覚。
それに遅れて、鉄の味が──血が、流れ込んできた。
「
「……うるひゃい、黙ってて」
少しだけ口を離してそう言った立華ちゃん(くん)が、顔を真っ赤に染めながらも、再び唇を合わせてくる。
何でかつてないほどの非常事態に、こんな特殊なプレイの相手をさせられなければならないのか。
色んな意味で目が死んで来たのだが、そこでふと気付く。
身体が有り得ないくらい楽になっていることに。立ち上がるだけで眩暈を引き起こしてたほどの呪力が、霧散していくのを感じる。
これ──"勇者の力"か! 『悪性への特攻』属性、そのまま呪力に刺さるんだ……。
いや……凄いな、マジで。主人公の名に全く恥じない万能能力である。
ぶっちゃけ、未玖の予知を思い出していたから、これが原因で死ぬんかなと覚悟は決めていたのだが……。
二度、三度と繰り返された口づけが、ようやく終わる。
「────どう? 調子は」
「ぜ、絶好調……だけど、良かったのか?」
「……一ミリでも良くなかったら、こんなことしてないっ。察しろ馬鹿!」
ベシベシと足を蹴ってくる立華ちゃん(くん)であった。まあ、嫌だったとしても、直接言う訳にはいかなかったよな……。
普通に申し訳なくなってしまい、ヘラッと笑う。
「や、そういうことじゃないんだけど……まあ良いや。それよりほら、行くんだろ。僕も行く」
「うん、サポート頼む」
「頼まれたっ」
コンコンと拳をぶつけ合い、医務室を出ると同時に駆けだした。
その中で、手の甲に残る感触に、小さくため息を吐く。
相棒だって、言ったんだけどなあ……。
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