第2章05 飛び入り参加
「えっ、美月!? って、結ちゃんに雫まで?」
「3Dで新衣装配信なんてズルい~って茜さんにごねたら混ぜてくれるって! H4Y4T0さんは久しぶりだね。Setoさんは初めまして! 楠の同期の柊 美月です」
「ご無沙汰してます。配信のときはどうも」
「っす」
あっ、Setoが完全にコミュ障モードに入っちまった!
「あっははは、ほんとに人見知りなんだぁ。ほら、みんなも挨拶しとこーよ」
「こんばんは、
「は、はじめまして、
白樺さんはぶいあどの3人の初期メンバーの1人で、リーダー的な存在だ。銀色のロングヘアにクリアブルーの瞳。服も白を貴重としたワンピースで、ザ・清楚って感じ。
逆に朝顔さんは3か月前にデビューしたばかりで一番の後輩。薄めの紺色に紫のメッシュが入ったボブカットで、丈の長いパーカーにすっぽり収まっている。すごく小柄で今も白樺さんの後ろからちょこんと顔を出して挨拶していた。
これからスポンサーになってもらうぶいあど所属のライバーさんの基本的な情報は頭に入れた。18人とそんなに大所帯ってわけじゃないからさして時間もかからなかったし。さすがに全員の配信を見たりするまでは出来てないけどね。
「初めまして、H4Y4T0です。聞いてなかったのでびっくりしました」
「ふふっ、3人に秘密のサプライズですね。本当は他のみんなも来たいと言ってくれていたんですけど、ちょっと準備が間に合わなくて」
「準備?」
「ふっふ~ん、びっくりするといいよ。じゃあ、お願いしま~す」
柊さんの呼びかけで、登場した3人が横一列に並ぶ。すると、先ほど見たエフェクトが包み込み、中から俺たちのユニフォームを着た3人が現れた。
「えぇ~!」
ひよりが驚きの声を上げる。満点のリアクションに柊さんは満足げだ。
「すごいでしょ~、うちらも用意してもらっちゃった。名前は入ってないけどね」
「うん、Rising Leoはあくまで3人のチームだからね」
「い、一般販売用のユニフォームを着させてもらってます」
3人が来ているユニフォームの背面にはチームイラストは入っているけど名前はプリントされていなかった。さっき茜さんが言っていたグッズとしては、このデザインで販売されるってことらしい。
「でも、どうして来てくれたの? あたしにも内緒で」
「ん~、面白そうだから」
「はぁ~…美月はほんとに。2人もそうなの?」
ひよりが柊さんにジト目を向けながら残る二人にもおなじ 質問を振る。
「まぁ確かにそれもあるけど、私たちや今日来れなかった子達も含めて3人を応援したかったからかな。私たちにとっても大事な発表があるのに、それをひより達だけに任せちゃうのは申し訳ないじゃない」
「そ、そうです。でも、みんなの分までユニフォームを準備するのが間に合わないから、TBの配信をメインにやってる私たちが参加させてもらうことに、なったんです」
「そーいうこと。だからうちらもぶいあど初の外部の人とのオフコラボに飛び入り参加することにしたわけだ~」
「みんな…ありがとう!」
いい人たちだなぁ。ひよりや俺らのことを心配してわざわざ駆けつけてきてくれてたのか。他にも声を上げてくれてたみたいだし、ぶいあどのメンバーの仲の良さが伺える。
「あと、H4Y4T0さんとSetoさんはこれからぶいあどのTBコーチにもなるんだし、ぜひ弟子入りしたいと挨拶に来たってわけですよ」
「あぁなるほど。任せてください。立ち回りに関しては俺が、フィジカルに関してはそこで小さくなってるポンコツがメインでやっていきますね」
いきなり初対面の人が3人も現れてSetoは物言わぬオブジェと化していた。取材とかならなんとかなるけど、今回は無理だったらしい。
「Seto、お前も挨拶くらいしてくれよ」
「…ハジメマシテ、Setoデェス」
「いや声ちっさ! あんたいつもあたしにあんだけ大声で煽ってくんのに」
「うるせぇ! いきなりだったんだからしゃあねぇだろ」
「女の子相手に情けない。気の利いた話題の1つや2つあるでしょ?」
「ッス~…今日天気いいっすねぇ」
「あんたの会話デッキゴミ過ぎない!?」
そこからは普段のお返しとばかりに縮こまるSetoをひよりがいじり倒し、それに乗っかった柊さんと白樺さんにSetoが脊髄反射で返してわちゃわちゃしたものになった。朝顔さんとは人見知り同士シンパシーを感じたらしく妙な同盟が成立したりもしてたな。
最後に茜さんがRising Leoの公式サイトのオープン日時と、初販グッズの告知をして1時間ちょいの配信は終わった。
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