第2章01 新衣装お披露目配信
「みんな~、こ~んば~んわ~! 今日はあたしの新衣装配信を見に来てくれてありがと~!」
ハイテンションなひよりが飛び跳ねている。今日はさっきひよりが言った通り、新衣装のお披露目配信だ。3Dアバターのひよりが開始と同時に最近人気のボカロ曲を歌って踊っている。普段は2Dのひよりと話してる分、3Dのひよりを見るのはすごく新鮮な感覚だ。
てか歌も踊りも上手いな。最近練習を頑張っているのは聞いてたけど、こうして目の当たりにするとアイドルみたいだ。髪の毛が動きに合わせて揺れるところもきちんと表現されていて、3Dの技術力にも関心してしまう。
「ありがとう~! 頑張って練習したけどどうだった~?」
コメントも大盛り上がりで配信は最高の滑り出しでスタートを切ったみたいだ。
「はぁ、1曲だけだけど疲れちゃった。ちょっと待ってね。お水飲むから」
短い休憩を挟み、呼吸を整えてから再開。
「さて、今日はタイトルの通り新衣装のお披露目なんだけど、みんな3Dで配信するとは思ってなかったでしょ? 普段なら2Dでやるけど、今日は他にもお知らせすることがあるから豪華になったんだ~」
他にもお知らせがあると聞いてリスナーも興味津々って感じだ。盛り上げるのも上手いなぁ。
「ふふっ、気になるでしょ? じゃああんまり待たせちゃうのも悪いし、早速新衣装を見せちゃうね!」
ひよりがステージの中央に立って目を閉じる。ステージの照明が暗くなり、キラキラとしたエフェクトがひよりを包み込んだ。エフェクトが輝きを増しながらひよりの姿が完全に隠され、花火のように飛び散る。中からは先ほどまでの白のワンピース調のデフォルト衣装から変わって、黒いTシャツとスカートっぽいショートパンツに身を包んだひよりが現れた。
「じゃじゃ~ん! 今回の新衣装は、あたしが加入したRising Leoの新しいチームユニフォームで~す! どう? カッコいいでしょ!」
そう、ひよりの新衣装は俺たちの新しいチームユニフォームの発表だった。名前も新しくなり、前のユニフォームが使えなくなったので新しいのを作ったんだ。
ひよりがその場でくるくると回転しながらユニフォームの全体像を見せる。黒を基調とし、肩とショートパンツの横側に白のストライプが入っている。ひよりは黒のニーハイも履いているので、普段の白い衣装よりも金髪が映えて見える気がした。
シャツの胸部にはチーム名”Rising Leo”が表記されている。その上部左右にそれぞれ”ぶいあど”と、チーム名の略称のRLを組み合わせたロゴがプリントされていた。
「正面はこんな感じね。で、後ろも見てみて~」
そういって振り返ったひよりが髪を肩にかけて背面を見せる。背面には大きく吠えるライオンが描かれていて、その上、ちょうどひよりの髪で隠れていたところには名前が書かれていた。
”H1Y0R1”
「そのままで行こうかとも思ったんだけど、H4Y4T0もSetoもアルファベット名で活動してるから、Rising Leoとしてのあたしは今後この表記にすることにしました! ちょっとH4Y4T0の真似してみたり…あっ、またすぐてぇてぇって言いだして! いいじゃん、ちょっと真似するくらい!」
そうやって怒るけど、今日のひよりはすごく楽しそうだ。口調は拗ねてるようだけど、表情は全く違う。笑顔を抑えることができてない。それだけこの配信を楽しみにしていたんだろう。ひとしきりコメントを見ながら感想を読んだり、ありがとう~とお礼を言ったりして過ごしていた。
「よし、じゃあそろそろ次にいこっかな。あんまり押しちゃうとスタッフさんにも悪いしね。お~い、茜さ~ん!」
「はいはい、お邪魔しますね。皆さんこんばんは。今日はひぃの配信を見に来てくれてありがとう」
配信はほとんどすることはないけど、こうしてお知らせや重要なイベントのときに来てくれるらしい。所属しているライバーともすごく仲がいいようで、ひよりも全幅の信頼を置いているって前に言ってたな。
「茜さん、今日は本当にありがとう!」
「いいのよ。お礼は3D担当のみんなに後で言ってあげてね。私が無理を言って過密スケジュールでお願いしちゃったから大変だっただろうし」
「そうだよね。配信決まってから今日まですぐだったし、後でお礼言わないと」
「うん。それじゃあ続けましょうか。今日はこうして見てもらった通り、ひぃがお世話になっているRising Leoの新ユニフォームの発表配信です。というわけで、今日は特別ゲストとして、H4Y4T0さんとSetoさんにもお越しいただいています。それではお二人、どうぞこちらへ」
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