第1章81 宴の後
優勝インタビューの後は、視聴者投票で最も印象的だったシーン、最も笑ったシーン、最も強かったシーンなどが発表され、対象チームに賞品が贈られることになった。
最も印象的だったシーンには俺たちの初戦でアーマーを抜いた場面が選ばれた。最も笑ったシーンは”最下位取ったら即終了”がホントに最下位を取って画面が真っ暗になった場面が。最後の最も強かったシーンは、4戦目の崖上の激闘を制したAceのファイトシーンがそれぞれ受賞となった。
こうして大会のプログラムは全て終了した。宴の後に残るのは寂寥感…なわけがないんだよなぁ。
「いけいけいけいけ! 今のうちにぬけろぉ!」
「だぁぁぁぁぁ! ふざけんなよガチで! ぶつけてくんじゃねぇよ!」
「Seto君って案外弱いんだなぁ」
「おい、今言ったやつ出て来いよ。射撃場いくぞ。ボコボコに…ああぁあぁぁ! だからぶつけてくんなって何回言えばぁ!」
「ちょっと2人とも早くしてよ! 足引っ張り合わないでさっさとボール入れなさいよ!」
大会の後は二次会だ。俺たちは色んなギミックが準備されたステージのたくさんあるゴルフのゲームに興じていた。
最初はなんの予定もなかったけど、なんと佐々木さんが遊びたいって声を上げてくれたらしく、大人気アイドルのお呼びとあらば応えないわけもなく、全員で大声を出しながら遊んでいる。
他にもゼウスさんや神田さん、西野さんとかもいて、配信は大盛り上がりだ。
「大将ぉ、ほんとにファンなんです。こうして一緒に遊べて感無量です」
Setoがコミュ障なのに勇気を振り絞ってゼウスさんに声を掛けたときにはあまりの衝撃に開いた口が塞がらなかった。明日は槍でも降るのか?
「ひーちゃん今度一緒にTBやろうよ」
「えぇ、いいんですか? あたしでよければぜひぜひ!」
「やった~、はやひよてぇてぇについてじっくり聞かせてね」
「やっぱりやだぁ! 厄介リスナーだったぁ」
西野さんはひよりのことがすっかりお気に召したらしい。TBの配信を取り付けられてご満悦なご様子だ。くそ、サインもらえてたはずなのに。
「H4Y4T0さん、どんだけ楠さん強くしてるんですかぁ。V最強って肩書もう名乗れないですよ」
「いやいや、まだひよりはパンデモ帯にはいったことないですし」
「フィジカルえぐすぎでしょお! 勝てる気しないっすよほんとに」
神田さんはひよりの急成長で自分のお株が奪われることに危機感がヤバいらしい。まぁたしかにフィジカルだけで言えばひよりが最強かもしれないなぁ。
「H4Y4T0さんH4Y4T0さん、今度俺ともTBの配信やってくれませんか?」
「うえぇ!? マジですか?」
「マジですよ。ほんとあの大会からファンなんですから。お願いします。H4Y4T0さんのオーダー体験してみたいんです」
「そりゃもちろん喜んで。こうして二次会にも呼んでもらったんですし、ぜひ一緒にやりましょう!」
「やった! じゃああとでチャットのID交換してください」
「了解です」
いや…えぇ!? ファンってガチだったんだな。
こんな感じでわちゃわちゃと賑々しい二次会もあっという間に時間が過ぎた。お疲れさまでしたと挨拶を交わして再び3人の配信に戻ってきた。
「ふあぁ~、めっちゃ遊んだねぇ」
「だなぁあんな有名人たちと一緒に遊んだなんて信じられないわ」
「俺、大将と話せてよかったぁ」
「お前ガチで頑張ったな。感動したよ」
「あはは、ちょっとトイレいってくるね」
ひよりが中座したタイミング。今のうちだな。
「Seto、話が」
「任せた」
「……おう」
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