第1章54 窃盗のち強盗
「あっはははははは、やべぇ、マジで全部ぶち抜いたぞ」
「ごめんなさい、ほんっとにごめんなさい」
高笑いするSetoと平謝りするひより。まぁG1Nのとこからしたらたまったもんじゃないわな。
でもひより、お前もちゃんと盗んでるんだから同罪だ。死なば諸共だからな?
「一旦歯茎しまって。他のチームが集まる前に潰すよ。まだ混乱してるだろうし、一瞬で決める」
「おし」
「はい」
俺のコールに即座にスイッチを切り替える2人。
こっちはお陰様でバリアが揃ったし武器も確保済み。
回復はまだ乏しいけど相手はバリアなしが3人。圧倒的有利だ。倒して回復アイテムも貰えばいいんだろ?
拠点を飛び出して隣の建物に一気に詰める。
「ひより、いける?」
「任せて!」
ひよりが建物の窓からスティッキーとグレネードを続けざまに投げ込んだ。セイメイ採用してるから結界張るだろうけど、動きを制限できればそれでいい。
爆発音が連続し、同時にダメージが入った音が聞こえた。セイメイの結界が見えるけど、キルログにノックダウンも映し出される。
「ナイス! 雪崩こめぇ!」
Setoが脱兎のごとく建物の2階へと駆け上がり、ひよりと俺が続く。すぐさま交戦が始まり、Setoが結界へと飛び込んだ。
「G1Nやった。ひよりやれぇ」
「うん!」
2人ノックダウン、かつ体力も削った状態での1v3。さすがにここまで有利盤面ならひよりに狙わせていいだろう。
ひよりが無事詰め切って部隊壊滅。大会最初の戦闘は電光石火で決着した。
「楠日和が窓からスティッキーとグレを投げ込みました」
「2階の奥側に逃れるしかないです。グレは跳ね返りをうまく使ってますね。結界間に合うか?」
「あ~っと、間に合いません! セイメイを操る
「これは詰みですね。バリアなしでグレの爆風食らってたらどうしようもないです」
「今大会最初の戦闘は”おひるね日和”が勝利しました。2キルの楠 日和がキルリーダーです!」
「俺外見てるから物資抜いといて」
「コソ泥から強盗にジョブチェンジだな。物資うめぇ~」
「あ、テンペスタだ。替えよ」
「漁ったら交代で。次俺漁る」
元々の物資が貧相だった分、ほとんど全取っ換えみたいになった。いやそうだよな。普通こんくらい揃うんだよなぁ。次のアプデでガチで修正いれたがいいわあそこ。
ともあれ無事にひよりもポイントを確保できた。あとはこの中でひたすら貝のように籠って過ごす。チャンスがあればキル拾うって感じだな。あ、そうだ忘れてた。
「Seto、次のODで近くの弾全部抜いて枯らしといて」
「イエッサー、嫌がらせに勤しみます!」
「うむ、励みたまえ」
対して効果はないかもだけど、少しでも弾不足になって足を引っ張れれば楽なので全部抜く。
纏めて床に捨てとけば俺らは困らないし。
スキルで周囲の索敵をすると続々と他のチームが安地に入ってくる。俺らの戦闘以外で減ったのはわずか1部隊。
ここからは安地が縮まるたびに範囲外になったチームが無理やり中に入ろうとしてくる。
俺らは拠点を守り切ればそれだけで中位までは固い。あとはどれくらい拠点が安地の範囲内に残り続けるかの勝負だ。
「G1Nさんすいませ~ん、結界間に合わなかったぁ…」
「いや、ドンマイ。あれはもう詰んでたからしゃあない」
「それにしても何だったんですか? 何でいきなり私たちのバリアが消えたの? バグ?」
「いや、H4Y4T0のチームでSetoがアルセーヌピックしてたから多分それで盗まれたんだ」
「え、じゃああの一瞬を狙ってたってこと!?」
「そうなるね。いやぁ~完全にやられた。まさかこんなコンボがあるなんて」
「競技シーンでもなかったんですか?」
「そもそもアルセーヌって世界大会後に追加されたし、戦闘向きの能力じゃないから見向きもしてなかったよ。先入りだと刺さるんだなぁ」
「もう盗ませないから!」
「ですね」
「でもそうなると進化ダメージ稼がれるのか…。ガチで上手くできてんなこれ」
「性格わっる~w」
「本番まで隠してたんならマジモンの策士ですね。ほんとに19歳なの?」
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