第3話 夢の中で
私には、どうしても分からない奇妙な体験というものがある。
その1つが、今回紹介する物だ。
まず、あなたは夢をよく見るだろうか。そうでない人も居るだろうし、毎晩のように見るという人も居るだろう。
ただ、決まった夢を何度も見るというのはあまり聞かないように思う。
これは、その夢の話。
小学校高学年になった私は、時々見る奇妙な夢を疑問に思っていた。
夢の内容は単純だ。
まだ明るい昼間に、私はベッドに寝ている。
――何か来る。
そんな予感めいたものが私を焦らせる。
ベッドから起き上がって逃げようとするが、体が動かない――金縛りだ。
そうしているうちにも「何か」が近付いてくる気配を感じる。
別段、音や姿があるという訳ではない。ただ、感じるのだ。
――何か来る。何か来る。何か来る。何か……
それは確実に近付いてくる。
逃げなければ、その考えて頭がいっぱいになる。
そうこうしているうちに、目が覚めて夢が終わる。
起きると何もなかったのだと気付くのだ。体もちゃんと動く。
ただ、ある日を境にその夢は見なくなった。
その日も、夢の中で何かから逃げようとしていた。
そして、同じように目が覚めた。
だが、それ以降その夢は見なくなった。
ふと、今になって思う。あの時「会って」しまったのではないかと。
もちろん、その姿を見たという記憶はない――けれど、その姿を記憶から消してしまう程のおぞましいものだったとしたら?
その頃から、私は頭痛をはじめとする体の諸症状に悩まされることが多くなったように思う。
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