第10話 桜の下に雪がふった「中」

小さい頃から感じている孤独がある


心の何処かにポッカリと穴が空いている様な気がする

それは何をしても埋まる事なく寧ろ広がっている気がする

そう言えば…首を絞められていた間は其れが埋まった様な…

気のせいだろ

あの女は僕を殺そうとして来るのだから

親が死んだので僕は一人暮らしになってしまった。

僕は余計に孤独になってしまった。


用意されていた朝ご飯を食べる

今日はシンプルにトーストとジャムみたいだ。

何時も和食を作る崎原さんにしては珍しい…

嗚呼、そうだった、崎原さんは去年交通事故で…

毎年桜が咲く頃になると何時も同じ夢を見る、

その夢を見た時には必ず誰かが死ぬ。

先月は両親、去年はお手伝いさん。

一昨年は叔父…その前は、もう忘れた

一年に一人ずつ人は死んで逝く。

そろそろ僕の家族や親戚は全員死んだのでは無いだろうか

僕の友達にも被害が出るかもしれない

もぅ、人が死ぬ事には慣れたが


アイロンがかかった制服を着る

そして、一人の玄関で

「行ってきます」

そう言って扉を閉めた。


後編と続きます

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