第4話 待ち人

 私が駅を降りたときにふと目に映ったのは雨の中傘もささずに佇んでいる女性だった。

(珍しい…)

 私の感情は心配や不気味さよりもそちらのほうがさきにでてきた。

 なにせわたしの家があるところはド田舎なの人が少なくさらにお年寄りが多いので夜になるとほとんどの人が出歩かないのだ。

 ちらっとその女性を見てから私は岐路へ着いた。

 それっきりそのことは思い出さなかった。


 また、暫くして雨が降った帰り道全く同じところに佇んでいる男性を見かけた。

 珍しいそう思って家に帰った。


 梅雨の時期に入り私はいよいよ可笑しい…と思い始めた。

 前が降るたびに同じ場所で佇む男女がいるのだ。

 男と女は二人で居ることはなく日ごとに入れ替わりで立っている。

 気味が悪い、そう思っていてやり過ごしていたがついに我慢できなくなってしまった。

 あるとき休日に雨が降ったため駅に向かって行く。

 するとやはり人影が目に映ってくる。

 今日は女らしい

「あの…すみません。雨が降るたびにここで立っていますよね?何かあるんですか?」

 ついに声をかけてしまった。

「…………会いたいの、あの人に会いたいの。会わせて。あの人に」

「あの人?」

 もしかしてあの男の方だろうか?

 確か…明日も雨だったはずた。

「もし、その人に会いたいなら明日、ここに来るといい。そうしたら会えるんじゃないかな?」

 私が言うと、女は顔を上げた笑った。

 頬を赤くさせて本当に?と興奮気味に聞いてきたから勿論。と答えてしまった。

 そうすると女はスッと消えてしまった。


 次の日私はまた駅へ向かっていった。

 するとやはり人影が見えた。しかし今度は二つだった。

 ああ、よかった。そう思って私は踵を返す。

 私が入って二人の間を引き裂いてはかわいそうだ。







 何故かって?……二人でいてくれたらこちらを睨むこともないだろう?

 彼女は覚えていなかった様だが彼は私を呪い殺しそうだったからなちょうどいい。



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