氷の魔女の杖 -僕が彼女を見殺しにした-

ながみゆきと

prologue

 僕が彼女を見殺しにした。

 彼女はひどく傷ついていて、

 心はまるで氷みたいに

 堅く閉ざされ、凍てついていた。

 それが分かっていたというのに、

 僕は彼女を見殺しにした。

 その過ちのせいで彼女は

 力に呑まれ、悲劇が起きた。


 氷が炎を焦がすこともある。

 炎で焼かれ希望を失くし、

 ついに氷になった彼女は、

 すら凍らす災禍さいかとなった。

 あの時僕は氷になれず、

 にもなれずに、中途半端にくすぶっていた。


 大事なもののためには

 全て投げ出さないと、

 手にはなんにも残らないのに。

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