第2話

エライザ王国ダンダン伯爵領の寄子にミズーリ子爵家はあった。寄子とは言わば部下のようなもの。ミズーリ子爵家にとってダンダン伯爵領で小さな地域を任されて管理運営していた。それほど大きな地域では無いが街が一つと村が3つある。部下となる男爵や騎士爵はいない。

ダンダン伯爵領の寄子は他に2つ、バダン子爵家とドタン子爵家があった。この2つの子爵家はダンダン伯爵家の親戚であり、ダンダン伯爵直轄領に近く、交流も頻繁にあった。

だが、ミズーリ子爵家は侯爵家が分家として興した子爵家で、王命に依りダンダン伯爵家の寄子となったのである。何故かといえば侯爵家が取り潰されてしまった事で、その孫を救済するために王家が子爵位を与えダンダン伯爵家に任せた為だった。

つまり、ミズーリ子爵家の領地は元は侯爵家の領地だった。侯爵家と隣合っていたためにダンダン伯爵家に預けられたのだ。


そんな不幸なミズーリ子爵家に子供が出来た。同時にダンダン伯爵家にも子供が出来た。ミズーリ子爵家の子供はミリと名付けられた女の子だった。少し薄い金髪に碧眼の子供は幼いながらも整っていた。ダンダン伯爵家の子供はエリザと名付けられた。赤髪で茶色の瞳をした勝ち気な目をしていた。ふたりは同い年ということで交流があった。でも、扱いには差があった。

ダンダン伯爵家のエリザがミズーリ子爵家に行けばお嬢様として饗さなくてはならなかった。必然的にミリはエリザの子分扱いされた。また、ミリが大人しく気弱だった事がエリザを強気にした。


成長して5歳を越える頃にはミリは完全にエリザのメイド扱いだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る