あの時のバレーボール
辻田鷹斗
プロローグ 入学
中学校入学。春でありながらまだ少し乾燥した寒さが身体に伝わる。
僕は、小学校を卒業して中学に入った。さて、中学からは部活動がある。これまで少年団しかなかった小学校とは大きく異なる。種目数も、環境も。
これまでの僕は勉強に関して対して興味がなくただ家でゲームをする毎日だった。コミュニケーション能力もあるわけでもなく友達と遊ぶことすらなかった。運動はまあまあ。2年生にて1度100mリレーに選ばれたくらい。「嫌だなぁ。」正直、学校という定まった環境は苦手である。できるならこのまま川のカモが平然と流れるように卒業したい。けど、何もやらずはもったいない。
入学式を終えて母さんと家に帰る。自宅のテーブルに座り一息ついて母さんが僕を見る。心配そうな顔で口を開く。「あんたとりあえず部活やったら?良い経験にもなるよ?」「部活かあ。…何選べばいいのかなぁ?」僕は鞄からファイルを取り出して更にその中からプリントを取り出す。そのプリントには先輩方の写真と部活動の紹介が1面それぞれ書かれていた。母さんも傍まで寄って紙を見る。「あら、バレーボールなんていいんじゃない?」「バレーボール?」「うん。去年一緒にママさんバレーやってみたじゃない?あんな感じのよ。ボールは変わるけど。」去年?あっ。「あーー。あんまり出来なかったから最後は見ていたやつの。」「そうそう。試しにもう一回チャレンジしてみたら?最初は体験入部で参加してみてやっぱり疑問なら他のでいいし。」「なるほど。」
今思えば母さんは、当時小学生の僕が学校から帰ってすぐ家に籠るのを見てきた。それ故に心配したのか中学から何か奮起してほしかっのかもしれない。
「わかった。とりあえず明日体験入部行ってみる。」
錆びた歯車が今始動した。
あの時のバレーボール 辻田鷹斗 @ryuto7ryu
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