ロスト・ゴースト・リスタート 〜トラックに撥ねられて幽霊になった俺、美少女除霊師(落ちこぼれ)と最強を目指す〜
海夏世もみじ
第1話 [ヒガンの出会い]
――四月一日。
それは終わりの日でもあり、始まりの日でもある。
彼にとっては、ナニカを失い、ナニカを得る日だった――。
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今日から晴れて高校生となった俺――
黒髪碧眼で、右の頰に二本の引っかき傷が猫のようにあることから、クラスメイトからはよくからかわれたりしていた。
The・平均ライフを目標にしている俺の眼下には桜の花びらがが散っていると同時に、トラックに跳ねられた俺の死体が転がっていた。
『な、なんじゃこりゃァアアア!?!?』
俺の膝から下は無くなっており、そこから青い炎が吹き出ていた。いつから俺は人型バーナーとなったんだ。
『落ち着け……素数を数える間も無く落ち着くんだ。よし、状況を整理しよう』
人通りの少ないこの通学路の交差点にて、俺は交通ルールを守ってちゃんと横断歩道を渡っていた。
にも関わらず、猛スピードのトラックが俺に衝突した、と。気づいたら少し透けてる体……幽霊になったという感じか? 異世界転生はしていないらしい。
……え、いや、マジで俺死んだの? いやいや、せっかくの高校生活! って昨日眠れないくらい楽しみだったってのに……!?
『嘘だと言ってくれ……。ってかおい! よくも俺を跳ねたな!? 聞こえたら返事しろ!!』
組紐で作り上げた丸のようなロゴが入ったトラックから人が降りてきて、俺を確認している。辺りをキョロキョロと見回し、そして俺をトラックに詰め込んだ。
『なッ!? お前ら……俺を太平洋に沈めるつもりか! 待てぇぇぇ!!』
俺の声は虚しく霧散するだけで二人には届かず。ポツンと一人残された。
『と、とりあえず……学校行こっかなぁ……?』
夢の高校生活の舞台を成仏する前に見たい! ということで、フヨフヨと浮遊しながら俺が通うはずだった高校に向かった。
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桜が舞い散り、ガヤガヤと生徒達が話をする廊下。新生活に胸躍らせる者や、不安で押しつぶされそうな表情をしている者が沢山だ。
(俺もそん中に入りたかった……!)
ダバーっと滝のような涙を流す。
まあだが、地縛霊とかの類にならなくてよかった。その場から動けなくなるとか考えられない。不幸中の幸いってやつだな。
『と、ここが俺の教室か。まあすぐに俺の席は無くなるんだろうけどなぁ』
ガラガラッと勢いよく教室の扉を開け、大声で挨拶をする。
『みんなはじめましてー! よろしくー!!』
視線が一斉に俺に集まる。
も、もしかして俺のことが見えている!? そんな淡い期待はすぐに消え去る。
「……今扉勝手に開いた?」
「誰かイタズラで開けたのかな……」
「こわーい」
「幽霊だったりして」
「オカルト好きなん? 俺もなんよ。友達なろうや!」
見事に全員俺のことが見えていないらしい。トボトボと自分の席に移動し、ストンと座る。
ちなみにだが、幽霊になって壁や床をすり抜けられるが、触ろうと思えば物体を触れるみたいだ。
まあ人間は触れないんだけどな。
とほほと思いながら、クラスメイトたちを羨望の眼差しで見つめる。
時間は過ぎ、もうそろそろ朝の
『……!』
俺はその人を見た途端、息を飲んだ。なぜならば、ものすごい美少女だったからだ。
つぶらな琥珀色の瞳は宝石を感じさせられ、肌は踏まれていない雪のように綺麗だ。髪は銀髪だが、後ろの結び目から下は黒色という、お洒落なヘアーカラー。
『おー、すげぇおしゃれ髪。ま、そんな人とも知り合いになれないけどな。はぁ』
一体、今日で何回目のため息だろうか。
そんなことを思いながら、彼女を見て上がった気持ちは再び沈んで行く。
「うぃ〜。みんな入学おめでとさん! 俺はこのクラスの担任の
いかにも『サッカー部で〜す』と言わんばかりの陽キャオーラを発する先生がやってきた。
諸々の連絡などをすっ飛ばしていきなり自己紹介を要求するとは……。中々面白そうなクラスになりそうだな!(血涙)
そして始まる自己紹介。みんな話し合えない分、ひたすら名前を脳みそに叩き込む。
そして、件の美少女の番となった。
「え〜っと、
名前のごとく綺麗な声色だった。
(シシバ……すごい難しい苗字だった気がするけど思い出せん)
頬杖をつきながら次のクラスメイトの自己紹介を聞く。そしてついに、俺の前席のクラスメイトが自己紹介を終えた。
「はいあんがとね〜。んで次の席は」
『はいッ! 俺の名前は青天目零太郎! 誕生日は8月13日! 今朝トラックに跳ねられて死にたてホヤホヤの幽霊です☆』
「……ふむ、休みか。初日からサボりかァ〜? 全くこの野郎っ!! 二人もサボるとはなぁ」
普段ならこんなハイテンションで自己紹介なんかしやしないさ。誰も見ていないし聞いていないはずなので、ハイテンションで自己紹介をしてみた。
……なのだが、視線を感じる。
まさかと思いその視線の主の方を向く。移された視線の先にいたのは、美少女こと、シシバ琴音であった。
しかも口をあんぐり開けて俺をジィーーッと見つめている。
『み、見えてんのか……?』
「っ」
俺がそう呟くと、ささっと顔を前に向けた。
見えてんじゃねぇかぁぁああああ!!!!
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