第32話陽葵ちゃんと海を満喫
それにしても……。
陽葵ちゃんの新しい水着……。可愛い……そしてエロい。
それに海に来ている女の子の水着が……エロい。
恋愛感情は置いておいて、知らない女の子の水着をエロい目で見てしまいそうになり、我慢する俺。陽葵ちゃんに見つかったら、きっとがっかりされてしまう。
陽葵ちゃん以外の女の子の水着に興味が行くなんてダメだと思いつつも……。
なんで女の子はあんな下着と大して変わらない格好で海辺を歩けるの?
海という免罪符を手に入れるとまるで別人の様に大胆になるように思える。
陽葵ちゃんだって……。普段ならスクール水着でも恥ずかしがるだろうに、よりにもよってビキニだぞ。それも際どいやつ。
まあ、陽葵ちゃん以外の女の子の水着も気になるとか……男とは基本そんな生き物なんだけど……。
しかし陽葵ちゃんの水着姿は学校の体育の時間で何度か見たことがあるが……。
スクール水着は女子が選択の余地がなく仕方なく着てるだけだ。だが、プライベートの水着は自分の意思で……それもあんなに布面積が小さいやつを自分の意思で着ている。これは興奮モノだろ?
いや待て、むしろスクール水着の方がむしろ凄いのかもしれない。女の子が選択の余地がなく、半強制的に無理やりだぞ? その方がそそるような気がした。
俺の妄想……すげぇな。隣に陽葵ちゃんという女の子がいながら、こんなレベル高い妄想するとか。
いや、彼女がいるからこそ悟りの境地を理解できたか。
最強の水着はスクール水着だと……。
そこ引かない!
陽葵ちゃんと海に来た日は快晴に恵まれた。濃く鮮やかな青い空と強い日差しの下では全てのものがくっきりと明るく輝いていた。そう、特に水着姿の女の子は。
「陽葵ちゃん……ありがとう……最初は美玖さんにデレデレした罰だった筈だけどこれ最高だよ!」
「うん? 何言いよーとかな先輩は? さっきからあちこち周りん女ん子ん水着ばチラチラと見てぇ! もー! 先輩は陽葵ん水着だけばグイグイ見て!」
いや、自分の彼女の水着グイグイ見て嫌われたらヤダ。でも他の女の子の水着見てるのバレてたのね。ごめんね陽葵ちゃん、俺もう目の保養の浮気しない。
「ごめん。陽葵ちゃん。もう他の女の子の水着は見ないよ。陽葵ちゃん一筋で頑張るよ。だからテント張るから中でグラビアアイドルみたいなポーズしてもらっていいかな?」
「……せ・ん・ぱ・い・ほ・ん・き・で・す・か・?」
「あっ! いや冗談だよ、冗談、はは」
危なかった。彼氏彼女でもそういうのはダメなんだ。
いや、しかし陽葵ちゃんの真っ白なビキニの水着を見て……スク水最強と思ってたけど、やっぱり考えを改めた。
よく考えたら、普段身近にいる女の子があんな露出の多い水着を普通に着てるとか……海という免罪符を手に入れた女の子はあれほど露出したがるなんて……。
普段露出がほとんどないスク水でもちょっと見ただけで恥ずかしいとか言っておきながら、下着同然のかっこを自ら進んで平気でしてんだもんな。
ヘソ平気で出してるとか、ある意味異次元に来たような錯覚を覚えた。
俺が陽葵ちゃんの水着を堪能できる立場にいても、決して陽葵ちゃんの胸やお尻のあたりを凝視することに夢中になっていた訳じゃない。
レジャーシートを広げ、テントを貼って、パラソルを砂にさす。男の子の仕事をこなしていた。
彼女だもんなガン見しても問題がない……むしろ見られて喜んでくれるとか?
「せ、先輩……あんまガン見されるーとキモかばいけど……」
えっ? キモイの? 彼氏なのに? 俺は女の子のことが分からなくなってきた。
「でも、夏の海の彼女の水着は見ないと失礼にあたるって法律なかったッけ?」
「先輩! そげんもんなかとです! ほどほどにせんと、お巡りさんに言いつくるばい!」
そういうもの?
彼氏の特権って少ないような気がするのは気のせい?
「もう先輩ッ!」
そう言って陽葵ちゃんは笑顔になって俺のそばに来た。
「海で遊ぼぉ!!」
元気よく俺のことを海べでの遊びに誘ってくれる。
こ、こんな幸せな現実初めて……水着の女の子と海で遊ぶなんて……。
「もう先輩! 早うしぇな置いていくばい!」
陽葵ちゃんが海で遊ぶだろうアイテムNo.1のビーチバレーのボールを片手に俺の手を引いて海に連れて行ってくれた。
後でシャチのフロートも膨らませて遊ぼうかな、海の家で貸してくれるみたいだ。
ボール遊び、水のかけっこ。
俺は今日という日を決して忘れない。俺は水着の女の子と海で遊んだという既成事実を作った。俺は勝ち組の陰キャなのだ。例えこれから長い孤独な日々が待っていたとしても、俺は余裕で生きることができる……そう……この経験は俺の一生の宝物。
空を見上げるとどこまでも青い空が続いてた。
「わっ! ちょっとぉ!」
気がつくと俺は陽葵ちゃんにスイカ割用のスイカをぶつけられて海に沈んでいった。
『俺、生きててよかった!』
死にそうになりながらそう思った。
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