第4話 ピューマはUMA
私はずっと2時間残業が続いていた。
夫のびーはいつも定時だった。
だから我が家の娘たちの柴犬、
小梅と鈴とモッチの散歩は、
びーの役割だった。
そんなある日、私は1時間の残業
車に乗ってラインを見ると
珍しく3時間残業のびー。
帰ってすぐにお米を研いで炊き付けて
小梅と鈴とモッチを連れて散歩に出かけた。
自宅の住宅街を抜け、田んぼだらけの農道
40分の散歩コース。
農道を歩き県道を越えて、
再び農道を歩く、
そのうち、鈴が後方を気にし始めた。
誰かウォーキングでもしてるのかな?
私もチラチラ後方を見やる。
小梅とモッチはスタスタと
リズミカルに歩いている。
一方で鈴は後ろばかりみている。
リードを引っ張って無理やり歩かせる。
それでも鈴は振りかえる。
あまりの頻度にこりゃ尋常じゃない
そんな気がした。
やっと民家のまえの道にさしかかったとき、とうとう姿が見えたのだ。
50メートルぐらいは離れていたと思う。
「なに?あれ」
タヌキ キツネ まさか イノシシ
そんな思いで急足、
変だと思ったのは、
鈴だけが気づいていること、
小梅もモッチもいっさい振り返らない。
野生の動物だから田んぼの中を歩くのか、
稲刈りが終わった後の田んぼだから有りかもしれない。だけどわざわざ田んぼの中を横切り着いてくるか?
怖い!かなりの恐怖だ。
ぐるっと農道を周り再び県道を越える。
「餌を探してるのかな」
そんな事を思いながら急足、
「鈴!急ぐよ!はやく!怖い怖い」
小梅がオシッコをするため立ち止まった。
「梅ちゃん、はよシッコして」
そして鈴が田んぼの方を見ている。
「どうした?鈴」
鈴の方を向くと
「ぎゃあ〜😱」
すぐそこに、
2メートルも離れていないそこに、
タヌキじゃない!
キツネじゃない!
イノシシでもない!
なんだあれは!
鈴はじっと見つめているだけで
吠える事もしない。
「鈴!鈴、逃げないと〜🥶」
鈴が動かない、
小梅はまだ呑気にオシッコをしている。
モッチもその辺の匂いを嗅いでいる。
「小梅!モッチ!あんたらわからんの?
なんでわからんの〜
なに?あれ?怖い〜😱
🥶🥶🥶🥶🥶
逃げろ!鈴、いくよ!」
私は恐怖でもう焦りまくり。
鈴は、体重11キロの中型犬である。
それよりも大きくて細い体、
私は益々恐怖に慄く
「食われる!逃げろ!」
と叫んで全力で走った。
「なにけ!あれ!猫みたいやん!猫みたいやけど、猫じゃねえし〜😱」
2メートルくらい離れた田んぼの中
そこに見えた姿は、
毛はがない
皮膚は灰色
顔の形は見えるのに
目がない!
鼻がない!
能面だ!
どうやってここまで来たのよ。
周辺地域は山間部ではない
平野部なのだ。
どうして私らについてくるのよ!
顔のないその顔の形は
ピューマ、
背中も丸くて
ピューマそのもの
一瞬、動物園から逃げてきたのか
とさえ思った。
まさか、ピューマ?
「まさか、そんなわけねえ!」
私が走るから。小梅とモッチも加速する。
なのに鈴はひたすら後ろを振り返る。
鈴を引っ張り、急遽、道をかえて、
住宅街の道路を走った。
それでも鈴は振り返る。ついて来ている。
「怖い🥶怖い🥶怖いよー😱」
やっと我が家について鍵を開けようとするけれど手が振るえて中々開かない。
家の中に入って二階へ駆け上がり窓からそっちの方を見てみたけれど
そのピューマ姿はなかった。
あの日から一人で散歩に行けなくなった。
夫に話すも、俺が行ってる時、
会った事ない。
「お前夢見たんちゃうの」
「夢で、あるかい!起きとったわ!めちゃくちゃ、走ったわ!そいつに気づいたのは、鈴だけよ。小梅もモッチも近くに来ても見向きもしなかった。あれは!絶対!UMAだよ」
信じるか 信じないか
誰か信じて〜
私はこの目で確かに見たんだ!
ピューマに似たUMA
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます