第46話 Sideモブ4 蹂躙

私はパーティーの仲間に「いい仕事を見つけた」とか言われたからついてきた。まあ楽しそうだったし(事実楽しいし)、弱者をいじめるのが好きだからね。まじでついてきてよかったなーとか思ってた。のに。


……こいつのこの強さは何?


魔法職っていう遠距離職なのに、なんで近接職の拳闘士に圧勝しちゃうのよ!!

しかもこいつ魔法使ってないわよ!? 魔法使いのくせに殴って勝っちゃうとか、もうレべチすぎでしょ……!


本来はパーティーの仲間である、あいつの身を心配してあげなきゃいけないんだろうけど、そんなのは気にならなくなるくらい蹂躙姿がかっこよかった。

敵である私が見とれるほどの美しい蹂躙。こんな綺麗なタイマンみたことない…!



「……あぁ、ちょっとやりすぎちゃったかもなぁ。まあどうでもいいか」


そう言って、血が付いた手をはたく。まるで蚊を潰したくらいかのような、まるであいつの血が汚いみたいな、侮る仕草。

その姿が、冷徹な暗殺者みたいで。あんなふざけて軽口叩きあっていたのに。


――――――その姿が、かっこいいと思ってしまった。




「あ、ニアだー。やほー!」


え、急に雰囲気が変わったと思ったら、いつものテンションに戻った。

この人はなんなの……!?




人知れぬ恐怖と、かっこいいっていうよくわからない感情と、憧れが同時に芽生えた気がした。

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