第35話 俺の癒し枠ッッ

「どっ、土下座しなくても大丈夫ですよ!? むしろ異世界行ってみたかったので、感謝してるくらいです!」


ぺかー


バタンッ


「レマさん!? 何で急に倒れたんですか!?」


[…優しさが眩しすぎて倒れたんだな。王女とニアにノリに慣れてしまったから]


なにこの子…天使…?

ハッ! 俺のチート物語の癒し枠はこの子だったのか!!


「ちょっと君、俺と一緒に来ない? 魔王倒そうよ」

「はi…え? 魔王倒す? そんなコンビニいこーよ感覚で?」

「俺は魔王を倒すという使命の元立ち上がった! 君も一緒に戦おう!!」


[うるさ]


「まあ…ついて行きます」

「…え? いいの?」

「はい、楽しそうなので。前世では楽しさの欠片もなかった…(ボソッ)」


ん? なんか一瞬闇が見えたような見えなかったような…


「ちょっと! なんか勝手に話し進めてるとこ悪いけど、その子は刑務所入れなきゃだめなの! 死刑にすんの!!」

「へ…?」


声を荒げて反対したのは――—王女様だった。





「なんでですか!?」

「さっき言ってた”うざいメイド”ってこの子のことよ! 前はあんなにうざかったのに、レマが来てから急に弱い女の子アピールしちゃって! うざいにもほどがあるわ! はやく消えて!」

「え…そなの…? つまり側近を殺したのも君…?」


俺の癒し枠……!!


「ちっ、ちがいます! たしかにそのうざいメイドは私ですけど、あれは演じていたというかなんていうか…」

「演じていた? 何のために?」

「私はラスボスを倒さなきゃいけないんです。それで王女がラスボスだと思いました。以上。」


「転生のとき、レマさんの説明すべて聞こえていたので」


と、こそっと俺に聞こえる声量で付け加えた。


なるほど。となるとつまり。



――――ゆっくりと膝を曲げ、頭を地面につけた。


「まじごめんなさい゛…」


俺が転生失敗してなかったら、こんなことになってなかったもんね!(泣)

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