第6話 勘違いと新たな決意
三人がこちらをじっと見ている。
急に叫んだのは確かに私だけど、見すぎでしょう?
「エマ、違うって? じゃあ、どうするつもりなの? 他に行くあてがあるの?」
ルニアに問われ答えに詰まった。
それはそうだ。だって、私地図で国の位置なんかはわかるけれど自国から一歩も出たことがないのだ。そう、初めての外出。いきなりのハードモード。最初ついてきた人達はルニアが全員追い払ってしまったし。そういえばルニアはどうして追い払ったんだろう? 彼女「はい、さよならは〜」って言ってたし私置いていかれるところだったのかしら。ルニアが来てくれなかったらあそこで一人ぼっちだった?
ぶるりと体が震えた。それだと元婚約者は私なんて死んでしまえば良かったって思ったのかな。
「ないです……。ごめんなさい。違いません」
「そ、それなら話を進めておくから」
しゃりっと小さく音をさせ手のひらくらいの大きさの赤い実をかじる。甘酸っぱい。
お城の食事でもデザートによく出ていた。
もう、
痩せたって迎えにきてくれるわけない。あそこに戻ったところでまたストレスで太れば同じ事を言われるだろう。
「私、私……。追い出されたりしない?」
ぽつりと口から不安が出てしまった。食べるだけ、太った私が。
「あー、あー。もう、大丈夫だって。ほら、ブレイドだって言ってるだろ」
「そうだ。ボクは追い出したりしない」
「でも」
「エマ、何か言われたのか? 何が心配なんだ?」
ブレイドに聞かれ、思い出してまた涙がでそうになった。
「ブレイドに初めて会ったときに言われた事よ」
そう、脂肪たっぷりの女。不味そうと無用になった私。ちょっと違うけどね。
その言葉を聞いたブレイドは眉をひそめる。あ、謝ってくれたのに、私ったら……。
「なんて、だ――」
「なんだ、そうだったのか!!」
声が重なった。私は急に笑顔になった彼を見る。
「エマ、食べられたかったのか! よし、ボクがしっかり食べてあげよう。よく見たら美味しそうだし、いい匂いだったしな!!」
獲物を見る目!?
いやいや、食べられたくなんてないんだからっ。そこじゃないんだけどぉぉぉぉ!?
「私、痩せるわ!!」
痩せて、食べがいのない体になって食べられないようにしなきゃっ!!
「ん? ボクは別にそのままのエマでも」
「痩せるわ!!」
食べられないように!!
ルニアがプププと笑いをこらえてる。私が寝てる間に説明とかしてなかったの?
「どんな姿でも美味しくたべてやるぞ」
って、怖い事言ってる人もいるんですけどぉぉ!?
とりあえず、目標は固まった。痩せる。絶対に痩せるわ!
食べられるなんて絶対にごめんです。
住むところさえなんとかなれば、なんとかなるよね?
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