第三十三話 「улетать(Fly away)」

"ガタッ! ガタタッ!!


「(麻衣・・・っ!)」


【バーカ。 カッコつけてるつもりか、っての】


"コンッ!"


【――――てっ、!】


あの世界では、誰よりも


高く飛べた筈なのに―――――


だが、この世界ではどうか―――――


「(麻衣・・・っ 麻衣っ・・・!)」


"ビシャッ! ビシャシャッ!!"


「Аймой,

(エイモイ――――...?)」


「осподин Цувефов!

(つ、ツベフォフ氏・・・!)」


"ビシャッ!"


何故この場所にいるのか分からないが、


隆和がツベフォフに従い、よく分からない


古いコンクリート造りの建物の中で


渡された珈琲を床にバラ撒いていると、


そのツベフォフが自分の側へと向かって歩いて来る


「то есть,

(・・・それは...)」


「Нет, нет, это

(い、いやっ こ、これは――――)」


頭に装着されているVRゴーグルに


冷めた目つきを浮かべながら、ツベフォフは


隆和を見下ろす――――


「Странно что ты играешь


 в игру при таких


 обстоятельствах, У


 тебя кажется


 несколько сильное


 сердце,

(この状況下で、"ゲーム"をやっているなんて....


 エイモイ―――― アナタは


 幾分強い心を持ち合わせている様だ・・・)」


「Нет нет я немного


 беспокойна

(い、いや、少し、落ち着かなくて――――)」


"ガタッ! ガタタッ!!"


「(お、俺は、誰よりも"飛べる"はずなんだ....っ)」


「・・・・」


"スッ"


「・・・??」


不安定な様子を見せている隆和に背を向けると、


ツベフォフはどこかへと


向かって歩き去って行く――――


「Цу, г-н Цвефов!

(ツ、ツベフォフ氏っ)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「Что ты будешь делать


 сейчас?

(こ、これから、どうするつもり・・・?)」


「・・・・」


"カンッ カンッ カンッ カンッ!


「Верно,

(そうだな・・・)」


古いコンクリート造りの建物の中を


隆和、そしてツベフォフは


ブーツの音を響かせながら、


どこかへと向かいただ歩いて行く....


「Ре-Лебедева и другие,


 эээ, они идут за нами


 не так ли?

(れ、レベデワ達が・・・っ


 お、追って来てるでしょう・・・っ?)」


「・・・・」


"カンッ カンッ カンッ カンッ"


「Г-н Цвефов?

(つ、ツベフォフ氏――――?)」


「・・・・」


我を失った様に同じ事を繰り返す


隆和の様子に興味が無いのか、ツベフォフは


軽いブーツの音を施設の床に響かせながら、


何か目的がある様にどこかへと向かって


歩いて行く―――――


「(ど、どこに...!)」


「Нет, у него важная


 роль в этой крайности,

(・・・・いや、彼にはこの極層において


 重要な役割がある...)」


「(また、一人言か....っ)」


"カンッ カンッ カンッ カンッ!"


「(つ、ツベフォフ氏は、どうやら見た所によると


  レベデワ... レベデワに、追われている....


  い、いや、それは俺もそうか...)」


「Говорят что посланники


 семи богов послали


 единственный меч


 человеку который


 должен был быть


 посланником богов


 несущим святой меч,

(どうだろうな・・・ 


 ルコモリエの話も少しは彼らの


 "好奇心"にとっては大分、


 収まりがいい物なんじゃないか・・・?)」


「(Лукоморье?)

(ルコモリエ――――?)」


【Или посланник Бога,


 Этот парень наверное


 что-то,имеют опасные


 религиозные убеждения


 Ты невероятный


 человек,

(七人の神の使いは、聖剣を携えた


 神の使者となるべきその男に、一つの


 "剣"を遣わしたと言う――――)】


以前ツベフォフがボソリと呟いていた一言を


隆和は思い返す


「(Или посланник Бога


  か、神の使い――――


  こ、この男はもしかすると、何か


  危険な宗教的思想を持つ


  とんでもない人間なんじゃないか・・・!)」


「Да верно! Это не


 только Россия, Это


 больше не над и под


 физической сущностью


 один набор


 тангенциальный ответ!

(ハハッ―――! 


 そんな断続的な腐敗を簡単に互いに背反せず、


 同時に存在させられる訳がないだろう―――


「(わ、笑ってやがる・・・)」


「Да, верно! Это не


 только Россия, Это


 больше не над и под


 физической сущностью


 один набор


 тангенциальный ответ!

(そう、そうだっ! ロシアだけでは無い――――


 これは、最早"上"、そして"下"の


 物理的存在―――― 


 一つの集合した、接面を持つ繋がりを持った


 "答え"なのだよ・・・!)」


「(・・・・)」


何か、上機嫌で一人言を呟いている


ツベフォフを見ながら


「(ど、どうすりゃいいんだ・・・)」


隆和は、今の状況に大きな


"怒り"の様な物を感じ始めていた――――


「Я собираю,Все собрано

(集めている―――


 全ては、"集め"ているのだよ――――)」


「(・・・俺は、誰よりも....っ


  "高く"....っ


  "飛べる"筈なんだ・・・っ!!)」

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