第二十二話 「черная масса(黒塊)」

「これは・・・」


「ナンカノ、"カタマリ"ミテエダナ」


「・・・・」


"スウウウウウウウゥゥゥゥ―――――


スサケフスキが手を掛けた金属の箱の


扉を開けると、その金属の箱は


見たまま冷却するための機器か何かなのか、


二人が段になった箱の中を覗き見ると


ヒヤリと冷たい空気が漂ってくる


「ナ、ナンダイ...コリャ」


"グッ"


「・・・オッ!」


「・・・何だ?」


「ナ、ナンダ、コイツハ...!」


冷却機器の中程の段の上に置かれた


5cm四方の立方体の形をした


黒い塊を手に取ろうとすると、スサケフスキは


思わず声を上げる


「オ、オモテエ...」


「"重い"?」


"ゴトッ"


「・・・モッテムィロ」


「―――おッ」


"グッ"


腕に血管を浮かび上がらせたスサケフスキが


手にした黒い塊を手渡すと、河野は


その塊の重みに思わず腕を下げる


「な、何だ、これは...」


「――――カルイ、コイビトクレエノ


 オモサガアルンジャネエノクゥワイ?」


「恋人・・・?」


「ア、チガウ、コイビトジャナイ


 "コイヌ"ドゥワ...」


「子犬・・・」


スサケフスキの言う通り、


恋人、と言う程の重さは無いが


箱の中に入っていたこの黒い塊は、


確かに軽い小型犬の子犬程の重さの様にも感じる


「き、金属か何かか」


「ワカラネェ――――


 "ワカラ"、ネェヨ――――


 ゴウナスワン・・・・」


「(・・・・)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「コッチニモ、ナニカ、アルゼッ!」


「・・・構内図か何かか...?」


"ガサッ! ガササッ!"


「ヘヘッ... コイツハ....」


「これは、使えそうだな・・・」


"ガサッ"


河野は、部屋の床に転がっていた


工具箱の様な箱の中から


マイナスドライバーを手に取る


「ナンダ、カンガエテルヨリ、


 イロイロアルンジャネエクワ?」


「・・・・」


この部屋に入って数十分ほど、


河野、そしてスサケフスキが


様々な物が地面に転がった


部屋の中を物色していると、


部屋の床には明らかに近代的な工具や


朽ちて形が失われたダンボール箱、


更には錆びかけた何かの金属片の様な物...


落ちていた物の中から使えそうな道具を選ぶと、


河野は拾った飼料袋の様な袋の中へ


その道具を詰め込んで行く...


「(・・・・)」


「ア、ムコウノヘヤニモ


 ナンカアルミテエダ」


「向こう?」


"ガサッ"


入り口の方にいたスサケフスキが


アゴを傾け通路を挟んで反対側にある部屋を指す


「・・・・」

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