第26話 騎士科のミルキィ
「今年の首席が錬金術科って、何の冗談かと思ったんだが」
「納得したよ。まさか近衛騎士団員すら手玉にとられるとは」
正騎士達がぼやいてるの。
不本意だけど、
言っとくけど、今の私は背に
翅を拡げて大鎌持って。
魔族モドキとして、騎士相手の鍛錬をしてるとこー。
まぁ、タラちゃんは翅の役しかやってないけど。
一度、タラちゃん相手の鍛錬もやってみたけど、まるで相手にならなかったのー。
殆どの騎士が足元、糸で絡め取られてひっくり返り、頸筋に牙突きつけられて終わり。下手すると瞬殺の場合もあって。
うん。伊達にランクS魔物じゃないんだよー。
「何であの娘が騎士科に来てないんだよ」
「
何、その投げやりって言うか、呆れた感じなの?ジャック
「どう考えても、当時のお前より強くないか?」
「ですね。私の初年度記録を塗り替えてくれていますよ」
いや、まだ、練習迷宮階層と最短クリアだけでしょ?センセー、そう言いました。
だから文句言うと。
「迷宮内魔物討伐数記録もですよ。これは2日目で総数を超えられましたし、4日目は単日数の記録も出しています。単日78匹も斃すのは貴女位です」
そうだっけ?
首捻る私を見て。
「あの時、ミルキィ、大鎌で薙ぎ払ったからなぁ。ゴブリンなんて1払い6匹とかだったぜ」
ジオ?いらん事言わんでいいよー。
だって、辺境で3年も冒険者やってたらランクC位斃せる様になるよー?
そう言う私に、ジオは勿論、騎士のオジサンも
「ならない!ならない‼︎」
おっかしーなー?何でー?
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「あの『大鎌』だよな、威力3倍って
「ですね。従魔と
「それを差し引いても有り得ない戦闘力だな。流石は魔人族という事か」
「ですね。でも
騎士達相手に無双状態を続けてる
元々、魔人族は少数民族だ。
大陸北部の山中には、魔人族の村もあるらしいが、我がレクサンダル王国では殆ど見かける事は無い。
ミルキィの故郷も辺境と呼ぶのも生温い程の辺鄙な場所にある村だと言うし、そこに偶々居着いた1人の逸れ魔人族の男性の存在があってミルキィが生を受けた訳で。
「よくぞ、その村に居付いてくれた。そんな想いもありますよ」
「結果論だが、確かにな。それにしても、これは魔族相手の場合、騎士団が物の役にたてそうにもないぞ。魔物駆除を今少し熟さねばならんな」
「図らずも騎士団の欠点が如実に現れてしまいましたね」
「よりにもよって、王太子殿下の前でな」
確かに。
団長が苦虫噛み潰した表情なのもわかるし。
リアンナ王女殿下と相対した時に見せた4つ脚魔物に扮しての戦い方。
騎士達も呆気なく腰や脚を斬り裂かれて倒されてしまった。実際は斬り裂きではなくて噛みつきの筈なので、殆どの騎士が魔物に喰われてしまう結果となり得る想定だ。
国防の要として鍛錬してきた近衛騎士団にとって、あまりにも不甲斐無い結末。
それを目の当たりにした王太子殿下や王子王女の心境も如何許りか。
その意味では、ミルキィがいてくれて良かったのかもしれないんだが、しかし、しかしだよなぁ。
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