第11話 国王陛下の関心事。
「勇者アレクが大魔王ベルドを倒して数100年。その間に怨みがつのっていったのやもしれぬな。だが、魔力魔法力はベルドを上回ると聞く。より倒し辛い大魔王となったと言う事か」
「勇者アレクは最早いない。また、あれ以来『勇者』の才と
「ですが、こうして若い力が育ちつつあります。我々には希望が残っていると」
私達を見て、学院長が宣言する。
…希望ね。
まぁ、レベッカが偽物なのはある意味希望かもしんない。でも、その事を伝えるわけにもいかない。
それに前魔対戦から数100年しか経ってない。
魔族側はあまり世代交代してないから、私にとっては知り合いや身内が相手とも言える戦いになっちゃう。
出来れば、ゴメン被りたい。
けど私が望んで、強く望んで叶えた転生だから、人族側に立つしかない。それにクラリス達とか、人族の友人等の繋がりも増えた。
人としての繋がり、付き合いの方が楽しくて暖かい。失いなくない。
「時に、ミルキィといったな。君には会いたいと思っておったのだ」
は?国王陛下が私に?
会いたい?
「ティオーリアの反対は尤も故、これ以上ギルドの要請については問わぬ。が、切札としての要望も近衛騎士団や魔法師団からあってな。少し王国にも
ギルドの要請は問わぬ…ねぇ。
王国そのものが、要請を出しているんだ。
「王命とあれば。ですが私も実習勉強の合間に錬成製薬する現状です。薬草確保の事もあり、それ程の数は納品出来ない事はご考慮戴ければと思います」
「確かに。学院生の本分である以上それも道理だな」
納得いただけたよ。ちょいホッとした。
「王都にすら入られ暗躍された事を鑑み、騎士並びに魔導師の働きは今後益々激しく、重要になっていくと思う。頼んだぞ」
「「御意」」
謁見は終わり、私達は学院に帰った。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「あの娘がミルキィ。今年度首席の錬金術師。それにしても期待以上の人材だな。まさか魔人族MIXで錬金術の才を得ようとは」
「そうですね。魔人族は人族よりも遥かに魔力が高い。がその分細かな作業に向かない気質があります。器用さで言えばドワーフ族なのですが、彼等には魔力が殆ど無い。だから錬金術師は全てに平均的な人族のみの才と思われていたのですが」
「聞けば人族生まれだとか。母方気質と父方の能力、これ程稀有な存在のMIXはないだろうな」
子供達と引率のティオーリア学院長が帰った後、我々は今し方出会った、王都で噂の新入生錬金術師の事、その印象や為人を考えていた。
魔族の高位攻撃呪文を喰らって、神聖属性防御呪文があったとはいえ他の者は気絶してしまった。
共にいた冒険者の男性も同様と聞く。それでは助かったと言えない。
「魔人族MIXの身体だから、人族より少し頑強でした」
頑強で笑い飛ばせる話ではない。
真に生死の境だったのだ。
無論、彼女だけでどうにかなるものではないが。
彼女には、破格の味方がいた。
ランクSの
しかもウイング種。
高位魔族と言えど相手にするには厳しい魔物。
そういうものが何もかも上手くいき、子供達は生き延びて我々は魔族の王都暗躍を知る事が出来た。
「本当に、彼女に感謝だな」
全ては、その場にミルキィがいた事。彼女の存在につきるのだ。
「魔導師団には魔族探知の強化を。同様の依頼を各教会にもお願いするとして」
「大魔王即位の真偽も、どうにかして確かめなければな」
「大魔王レベッカ…。元々大賢者並の魔法力の持ち主と聞いていた。本当ならば災厄とも言える事態だ」
この件についても、やはり彼女に感謝だな。
ミルキィがいて、新たなる大魔王の存在を聞き出す事が出来たのだから。
国王として、本当に感謝の念が尽きないよ、錬金術師ミルキィ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます