第10話 報告、…そして謁見
カール先生から出された、クラリスへの神聖科実習のお題。
バリンゲン墓地の浄化。
そこで暗躍していた魔族との遭遇。
学院へ戻った私達は、直様先生へ報告した。
「は?ま、魔族?馬鹿な、王都にいる筈がないでしょう」
カール先生は最初、この話を信じてくれなかった。私達…私が証拠としての折った角を差し出して、それからが大騒ぎとなったんだ。
「じゃ、じゃ、じゃあま、魔族は、その魔族はどうしたの⁉︎」
「
倒したとは言わない。
私は、何とか追い払った程にした。
幸い、
「な、なるほど」
この事、帰りの馬車でクラリス達にもそう話している。まさか私がサシで倒したとは言えるワケない。
カール先生からティオーリア学院長へ話がいき、私達は学院長室で改めて報告する。
「大魔王復活?」
「ハイ。って言うか、次代の大魔王が即位したって言ってました。その、大魔王レベッカと」
現実ありのままを報告するしかない。
「大魔王レベッカ?確か大魔王ベルドの娘だったわね。
そうか。学院長の母って、勇者パーティの1人大賢者ティアナ。ならばレベッカの名も知っていて当然だわ。
「王国にも報告しないと。この魔族の角は私が預かって良いかしら?」
「はい、学院長」
証拠の品を渡す。つまりは丸投げするって事。
私としてはそれがベストの選択。喜んでティオーリア学院長に丸投げするつもりでいた。
「そうね。ミルキィにクラリス。それにジオも。良い機会だわ。貴方達も一緒に謁見しましょう」
は?私達に王宮へ行けと?
国王陛下に会えとまさか仰っています?
…その笑み、怖いデス。
学院長から王宮へ直ぐ連絡したって。
事が事だけに、翌朝には国王陛下に謁見出来る運びになった。
本来なら礼服、或いは高級ドレス?
学院の制服が、キチンとした礼服扱いになっているから、私達は窮屈なカッコはしなくてもすむんだよねー。
で、通された応接室。
謁見の間ではないから、私達も着座して陛下が来られるのを待つ形になる。
程なくして、国王陛下と王妃殿下、王太子殿下、それに宰相閣下と近衛騎士団長、魔法師団長が入ってこられた。
「そのままでいい。久しいな、ティオーリア」
「陛下におかれては、ご機嫌麗しゅう存じます。此度は緊急に玉体をお運びいただきありがとうございます」
「ティオーリア学院長。それ程今回の報告は急を要する重大事と言う事だ。そして、彼等が報告して来た生徒達だね」
「はい、宰相閣下。手前よりケイン辺境伯令嬢クラリス、辺境伯近衛騎士団長ヤザン家次男ジオ。錬金術科で本年度首席入学のミルキィです」
「すると、この子が冒険者ギルドからの要望もあった例の錬金術師か」
「そうです。そして今回、魔族と相対し王都より撃退した殊勲者でもあります」
「いえ、私ではなく私の従魔によるものです」
コレ、言っとかないと私自身が魔族を撃退したって思われちゃうよ。ま、実際はそうだったんだけど、その事実知られるのはとってもめんどーな事態になりそーだしー。
「ほう?君の従魔は?」
「デスタラテクトのウイング種です」
「なるほど。ランクSの魔物か。ならば魔族撃退も有り得る」
サンキュー、タラちゃん。
「それで、その魔族が言う事には」
「大魔王ベルドの娘レベッカが、次の大魔王として即位したって言ってました」
ベルドの1人娘の事は、やはり勇者伝説の中に出てくる。全ての魔法を使い熟し、父大魔王よりも膨大な魔力を持つって。
「だが、伝承ではレベッカは人族寄りの穏健派と言われていたが」
「私達魔人族の言い伝えでも、そうです」
って事になってる筈。
でも、当の本人が魔人族になってる事は知られてないけど。
…多分。
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