その他の人格と、無垢なる衝動『シオギ』
その権限は本体である文に匹敵する。
ユヅキの側から、文へのフィードバッグをシャットアウトする事も可能で、文には内緒の相談をすることも可能だった。
別人格たちのリーダーで、ユヅキの言う事をみんな聞いた。
文の感情コントロールを担っていたのは、ユヅキだった。
ユヅキ以外の人格も紹介しよう。
文の中の少女性を肩代わりした『カノン』
17歳くらいの女の子。媚び媚びで男(自分限定だが)に性的アピールをしてくる。やたらエロい。お洒落好き。だが、(設定上)多分処女。
結婚した後、カノンがやたら挑発してくるので、「それならしてやろうではないか」とまっ昼間から行為に及んだ。最初は文はしてくれない色々(ぺろぺろとか)を積極的にしてくれて興奮した。テンション上がり過ぎていつもよりガッツりハッスルしたら、やり過ぎたのか、「こんなつもりじゃなかったのに……」と泣きながら文に交代していった。
それ以降、カノンは、俺の中でヘタレのメスガキキャラになった。
今では笑い話だ。
怒りの感情が限界突破すると暴れる『ハイネ』
15歳の男の子。
一度出てきた事があったが、ユヅキが「アイツが出た時は気をつけろ」と警告するほど悪い奴じゃなかった。
俺の事も認識していて「あんたは良いが、イライラしてるから、今は触るんじゃねぇ」と言いながらゴミ箱を蹴っているくらいで、それほど暴れたりしなかった。
暴言も吐いていたが、思春期なユヅキという感じで、おっさんからするとむしろ微笑ましかった。
「そうだよなぁ、世の中嫌な事ばっかでムカつくよなぁ」
とコーヒーをすすりながら見ていた。
――ここまで紹介した彼らにどんな感想を持っただろうか? 楽しそう? 可愛い? そう思うだろう。
実際彼らはいい子だったし、大きな問題も起こさない。
あくまで、文を守るため、または文ができない事をするための存在だった。
だが、俺が最初に会った幼児の人格「シオギ」通称しーちゃんは少し問題だった。
文の中でユヅキは管理者で別格。
だがそんなユヅキも勝てない唯一の相手。それがしーちゃんだ。
しーちゃんが出てくるタイミングはそばにいた俺にも掴めなかった。別段ストレスがかかる場面で無くとも、ふと変わったりする。別に悪い事をするワケではないのだが、他の人格と違うのは「人間、
完全に幼児化し、言動も行動もそれに準ずる。
そしてその時は、文も、ユヅキも、その他の人格もすべて出てこれない。
記憶の共有もできてなかったと思う。上位の存在だった。
外出中に、「やばい、しーが起きた。すまんフォローを頼む」とユヅキが引っ込んで、しばらく車の中であやす、なんて事もあった。
しーがランダムでてくるため、文が仕事に就く事は難しく思えた。
制御が聞かない人格というの厄介だ。
ふらふらと何処かに行ってしまう可能性もあったからな。
しーが暴れれば文と俺はしばらく行動不能だ。
ある程度あやして気が済んだら引っ込んでいくが、それまでユヅキでもどうしようもないのだ。
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