2023/01/22 放物線

頭上を戦闘機が通り過ぎる。ごおっと衝撃と風圧が身体を襲いエカーテは吹き飛ばされそうになる。

(どうしてこんなことになってしまったんだろう)

エカーテの大好きだった街は瓦礫の山に変わってしまい、地獄のように燃え盛っていた。

ラグビーボールが放物線を描いて飛んでいくみたいに擲弾発射器から放たれたグレネードが飛んでいく。着弾とともにグラウンドで遊んだ過去の記憶と現実の記憶がエカーテの中で重なった。ラグビーボールはグラウンドの端に落ちて砂埃をあげた。グレネードは爆発し粉塵を巻き上がげた。つんざく音が、人の悲鳴をかき消してくれた。エカーテは瓦礫を跨ぎ歩いていく。

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