気が付いたらグローブジャングルが無くなっていた事に気付いた話

九兆

気が付いたらグローブジャングルが無くなっていた事に気付いた話

『グローブジャングル』って知ってる?


検索して一目見たら「ああ、あの遊具のことか!」と言うかもしれない。

ひょっとしたら、今の若い人たちは見た事すらないのかもしれない。


『グローブジャングル』というのは球体の形をしたジャングルジム。

中心の円盤を回すと、回転するだけの、そんな他愛のない遊具。


私は昔、それが好きだった。


近所の狭い公園に、ぽつんと一個

『グローブジャングル』があったのを覚えている。


おにごっこするのに、わざわざ逃げにくいにも関わらず入ったり。

意味も無く必死に回転させて気分が悪くなったり。

頂上へ上ってぐるぐると回る高い視点を楽しんだり。

回転しながら格好よく飛び降りようとして怪我したり。


今思えば危険極まりない遊具だったと思う。


高さと回転が加わった遊具を子どもが扱ったらどうなるか。

どれだけ注意しても怪我をしでかすようなことをいくらでもしかねない。


だから撤去されて無くなったのかもしれない。


確か中学生ぐらいの頃まではあった気がする。


最近、思い出の公園を通りかかったら無くなっていたことに気付いた。

代わりにギコギコと前後するだけの動物の乗り物になっていた。


別に

撤去反対とか、寂しいとか、そういう想いは抱かなかった。

それでも、なんとなく思った。


ああ、『グローブジャングル』なんてものがあったな、って。


知らなくても別になんてことないかもしれない。

思い出さなくても何にもならないかもしれない。


それでも、私は覚えている。

あの遊具に乗って遊んだ思い出を。


どんなことをしたかはかすかにしか覚えてなくても。


『グローブジャングル』という名前を憶えている限り。


思い出を忘れても、何度も思い出す。

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