第75話 突発型ゾーンダンジョン④
優達が公園の広場に着いた。目の前には赤い膜の結界が、ダンジョンと街を仕切っている結界がある。
「モンスターに襲われなく、着いたわね」
「少し危ないと思ったけど、襲ってこなかったわね」
「急に曲がったと思ったら、弱いモンスターが出てポン太さんが倒していたし」
「現道の感って当たるのか? 良く分からんな?」
「でも安全なルートだったね」
優の直感のお陰? で何事もなく目的地に着いた。
しかし公園には大勢の人達が集まって、結界から出ようと試みていたが赤い膜に弾かれていた。
そしてモンスターが出現しはじめて、一般人を襲おうとしていた。
「ポン太氏とニャン子氏はモンスターを撃退してくれ! 私達が……
市太郎が皆に指示をする前に、更にモンスターが出現して一般人を襲おうとする。更に、
「オレ達は絶対に死なねえ! 絶対に生き延びてやる!」
結界内にいた探索者が一般人を巻き添えにしながらモンスターに魔法を放った。探索者の魔法の余波で倒れる一般人。
モンスターと探索者の魔法に襲われて更に事態は混乱した。
「リナ君は探索者を殴って正気に戻してくれ! 日野君は私と一緒にモンスターの気を引く。優君は結界を壊してくれ! 市川君達は優君とエマ君と綾乃嬢の護衛を!」
即座に指示する市太郎にリナは探索者を取り押さえに、日野は市太郎と一緒にモンスターに向かって行く。即座に動けなかった優だが、特殊探索科の皆の行動を見て「行こう!」と言って結界に向かった。
五人は結果に急ぐ。しかしもう少しのところでモンスター数体に襲われそうになった。
輝美がモンスターを相手に時間を稼ぐが、エマに狙いを定めて襲い掛かる。
優はエマの前に立ち、モンスターの攻撃を防いだ。
爪で腕が切られ、出血する。そこまで深い傷ではないが、流血して手が赤く染まった優。
「現道君! エマちゃんと早く逃げて!」
「早く結界を!」
白川涼子と江戸川祭がモンスターの前に立ち、優とエマと綾乃を逃がすように立ちふさがった。
優は二人の支援を受けて、綾乃とエマの三人で結界へ走る。切られた腕が段々と痛くなった。血が止まらない。腕が血まみれで服にも血が付く。
結界前に着いた。優は血で濡れた手で結界を触る。すると結界に穴が開き、外部との出口が出来た。
外部に居た探索者が「結界が壊れた!」と叫ぶ。そして結界の穴から探索者が入って来て、モンスターを倒し、一般人を救出する。
「現道君! 大丈夫か! メイ君、急いで中に入って皆の救出を!」
入道護道も結界内に入り、優の怪我を診る。新家メイはエマと綾乃を結界の外に出した。
「……現道君、血を使って結界を壊したのか。それは山田君の指示かい?」
「いえ、モンスターに襲われて血が出て、それで血が付いたままで結界に触って……」
血によっての結界の破壊。怪我して血で結界を破壊した優の偶然に、入道には思いつかなった行動にため息をつく。
「あまり怪我をしないように。私達の防御力は一般人と同じレベルなのだから」
入道は心配しながら優の怪我を診て治療を行った。
優の怪我は幸い深手ではなく、治療後は周りを安心させた。
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