三章 特殊な体質を持つ異才の持ち主
第60話 特殊探索科の訓練
現道優が誘拐されて数日後。
訓練に対人対戦と集団対戦が使いされた。
それも反撃禁止、防御なるべく禁止という縛り対戦。
対戦相手は元探索者の新家メイ先生。
彼女との対人対戦訓練では優は回避する事が出来ずに攻撃を食らいまくる。
「……現道。もう少し攻撃を避けろ。集団戦では袋叩きになるぞ」
「が、がんばり、ます……」
「ほら、他を見て勉強しろ」
山田市太郎と日野ひまわりと新家リナの三人は集団対戦中だ。
三人の相手は探索者高等学校の三年生の一クラス四十人全員。市太郎は避け続け、日野とリナは避けたり受けたりと戦闘を続けている。
特に市太郎は他の二人よりも上手く避け続けており、優は回避する市太郎の上手さに疲れを忘れて見とれた。
「凄いですね……」
「山田の回避能力は凄い。日野やリナも良くやっているが山田には負けるな。現道も山田くらいに避けれるように頑張れ」
「はい、頑張ります」
特殊探索科と三年生一クラスの合同訓練が終わり、特殊探索科の訓練室でシャワーを浴びて着替えた皆は市太郎から「明日の訓練はダンジョン探索兼実地訓練を行う」と伝えられた。
「今回は優君も参加する。ダンジョンはコアの破壊も目的としているゴースト系モンスターが出現するDランクダンジョンだ」
鉱石をとるにしても質が悪いDランクのダンジョンのコアを破壊して消滅させる。
二回目のダンジョン探索に少し興奮した。そして日野とリナは市太郎に質問する。
「今回の給与は? オレは今回の給与でエマに貸りている借金を返したいんだ」
「探索者の男女の比率は? トラブルは勘弁してほしいからね」
「ふむ、給与は手取り三万、残りは貯金で良いかい、日野君。そして探索者の男女比は半々だが、新家メイ先生も参加するから男女比は女性の方に偏るはずだ」
日野の質問は分かる。しかしリナの質問の意味が分からない優。どうしてリナは男女比を聞くのだろうか? それを質問する前に「各自解散」との言葉で日野は部屋から出る。
リナは「優君、今日は一緒に帰ろう。でも帰る前に寄り道をして帰ろう!」と言ってきたので、優は承諾した。市太郎は「明日の準備をする」と言ってダンジョン管理省に行った。
そして優とリナは寮に帰る前に商店街で買い物をして、優はリナの荷物持ちとなる。
「あー、今日は良い買い物が出来た! 優君もありがとう!」
荷物を運びながらアハハと笑う優。リナは、
「明日の探索の元気の充電出来たし、優君も頑張ろうね」
と明るい笑顔で言った。そして優は訓練室で聞けなかった質問をする。
「リナさんはどうして探索者の男女比を質問していたんですか?」
優の質問を聞いて少し不機嫌になるリナ。
「……その答えはね。男性探索者からセクハラされるからよ。何度も何度もセクハラしてきて! ダンジョン内でも気持ち悪い視線でセクハラして! 近付いて触ろうとして! 注意しても気持ち悪い顔でニヤニヤして! ぶん殴っても舐めるような表情で笑って! 頭おかしいよね!?」
不機嫌になったリナを宥める優。そして、
「もう一回、ショッピングして明日の元気を取り戻そう! 行くよ、優君!」
「もうすぐ夕食の時間ですよ。だから今度にしませんか?」
荷物持ちとなっている優は、現状を打開する為に帰宅を提案する。リナも納得して「じゃあ、明日は探索だから、明後日ね。優君と一緒にショッピング! 楽しみだね!」と明るく言った。
優は明後日も荷物持ちとなり、リナのショッピングに付き合う事が決まった。
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