第3話 プロローグ③
西暦2033年。一人の少年が国立探索者高等学校の門の前でため息をついていた。
溜息していた現道優ゲンドウ ユウは門を見て再度ため息をつく。
親や教師の勧めで探索者高等学校に入学する事になった優。
探索者希望者なら即推薦を決めるはずだが、優は気弱な性格をしており、モンスターと戦うなんて無理だと優を知る者達は言うだろう。
しかし中学校の最終進路相談時に、魔力量検査の結果により優は特例で探索者高等学校に推薦されてしまったのだ。
優は探索者高等学校推薦を断った。理由はモンスターと戦う事が怖いから。そして魔力量を調べる為の数値がゼロだったからだ。探索者高等学校の入学条件には魔力量が千以上である。
優は拒否をしたが、学費無料・寮在り・公務員待遇の給料有で優の両親は説得されて、進路変更する事になった。
他にも探索者高等学校に進路を決めた同級生が居る。優の幼馴染の二人で、魔力量は一万以上あった。
一般人の魔力量は最低でも十で、探索者高等学校に入学する最低基準が魔力量千以上なので、魔力量が一万以上という幼馴染の二人は才能があると言われ、早期に探索者になる事を決め、進路に東京の探索者高等学校を選び、地元で有名となった。
優も幼馴染の二人の進路を喜び祝った。
探索者になるには基本的に、修行年数三年の探索者高等学校を卒業するか、高校卒業後の修行年数二年の探索者専門大学を卒業するか、二十歳以上でプロの探索者の弟子になり二年の経験を得る必要がある。
一番早く探索者になる方法が探索者高等学校を卒業することで最短だ。
幼馴染の二人は探索者高等学校に合格する為に受験勉強に明け暮れる。
その後、優にも探索者高等学校から推薦された。幼馴染の二人とは違う特別推薦だった。入試試験無しの面接だけ特別推薦。その事が中学校に広がり騒ぎになった。
魔力量が一万以上という才能ある幼馴染の二人とは違い、優はゼロ、魔力量がゼロだった。
一般人の魔力量は最低でも十くらいある。そしてダンジョンに入る事が出来る者は魔力量が千以上と法律で決まっている。
検査で魔力量がゼロの優が、探索者高等学校に特別推薦されたのがクラスメイトに知られて、優は裏口入学と揶揄され虐められる事になり、同じ高校に通う予定の二人の幼馴染からも白い目で視られて陰口を言われて、中学校に通うのを止め不登校になる。
不登校になれば探索者高等学校に入らなくて良いと思ったが、卒業証書と探索者高等学校の入学証明書と制服が自宅に届いた。
そして両親が入学の準備から引っ越しの手伝いをして、今は東京にある探索者高等学校の門の前でため息をついている。
優は探索者高等学校を卒業したら、普通の大学に進学しようと考えていた。
そして優に送られてきた学生証には特殊探索科と書かれていて、何が特殊なのかと更にため息。
教室に行かず、事務局に行って退学を申請しようと真面目に考えていた。
「あれ、貴方、特殊探索科なの?」
急に声をかけられ優は驚く。振り向くと肩越しで学生証を見ていた美少女に再度驚く。
優は逃げるようにその場を移動した。急に美少女から声をかけられて心臓の鼓動が早くなる。
セミロングの明るい表情の美少女は笑顔で言う。
「貴方は新入生ね。初めまして、私は特殊探索科二年生の新家リナ(アラヤリナ)よ。初めまして後輩君。よろしくね」
手を差し出して握手を求める恵に、心臓バクバク中の優は返事を返す事ができず握手を返すだけだっ
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