Spiritual Would

@Narusawa_Yuki

第1話 『天才少女』



4歳の時、初めてゲームを作った。


父のパソコンをいじって作ったゲームは

単純なパズルゲームだったけど、

4歳児が作ったものにしてはよく出来ていた。


それから約12年後


私は自ら発明した『LSL』という

脳情報をゲーム世界に送り、感触、疲労、

それらをゲーム内で感じることのできる

VR以上にリアルにゲームをプレイできる

機種でのオープンワールドなゲームを作った


ゲームの名前は『Spiritual』


自分のアバターを決め、世界を冒険する。

そんなありふれたファンタジーゲームだった


なぜ私がそんなものを作ったのかと言うと···


私に死が近づいていたからだ。



「これは···見たこともない症例ですね

脳にこのような腫瘍が発生するのは

非常に珍しいことなんです。」


「そんな···娘は···春海は助かるんですか!?」


「それはどうとも····。

ここより大きな病院でなら回復の見込みはあるかもしれません。」


母は医者の紹介で 首都の大病院に私を移した


「春海大丈夫?

ほら、従兄弟の京志郎君が来てくれたわよ」


「··········」


私は1つ歳上の従兄弟を見上げた


「大丈夫か、····は聞き飽きたよな。

暇だと思って色々持ってきたけど···いるか?」


従兄弟は持っている紙袋から本やら花やらと

色々なものを取り出す。


「·········」


私は静かに頷いた


「ごめんね京志郎君、無口な子で···。

──あっもうこんな時間!急がないと···!

京志郎君、春海の傍に居てあげてちょうだい。きっと寂しいはずだから···もう行くわね。」


「はい。叔母さんも気をつけて」


母は鞄を持って急いで病室を出て行った。


「····お前、ほんとに大丈夫なのか?

前はもっと話すくらいしただろ?」


「·······疲れた···」


「声、かすれてんな···喉大丈夫か?」


私はまた頷いて返した。


「秋也はどうしてる?

今、確か中学···何年だった?」


「···2年。中学2年」


2つ離れた弟のことを思い出す。

学校のことで忙しいはずなのによく見舞いに

来てくれる優しい子。

そのせいで母に怒られてないといいんだけど


「中学2年か、そうだったな。

昔はよくお前の後ろに引っ付いてたよな〜

····今もか。」


従兄弟は紙袋からアルバムを取り出す

表紙に書かれた日付は10年も前のものだった


「···京志郎」


「どうした?」


「来週、誕生日でしょ。プレゼントがあるの」


「マジかよ、よく用意できたな···。

叔母さんか秋也にでも頼んだのか?」


「·····プレゼント、絶対開けて使ってね」


「無視かよ···。それって使うものなのか?

いやいい、楽しみにしとく。

···早く元気になれよ。みんな心配してるしさ」


「·········」


私は、この時だけは頷かなかった


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