LOVE・LOVE・MINDGAME
早坂 実
第1話 とある授業にて
「1582年、この年に何があったのか覚えているやつはいるか?」
6月の梅雨が終わり、7月に入るこの時期は、少しずつ暑さが増していた。普段から、授業に集中できずにいた者は、更に集中できなくさせる。
絶対、勉強したくない……。そんな雰囲気が漂う中、歴史の先生、齢50のベテラン 田中 重文は、構うものかと授業を続ける。
そんな中、片手でペンを回しながら、答える者が現れた。
「それって、織田信長に謀反したやつじゃなかったっけ?ほら、えーっと、明るい漢字のやつ。」
「明るい感じってなんだよ、それ。その当時のパリピみたいなやつか。」
「そういえばさ、こないだSNSでさ、JUMBLEの曲でパリピが踊ってたよ。マジウケるんだけど。変な動きしててさ。」
「見た見た!意外と、体幹が良いので、びっくりした!」
「品がないものばかり見て……。少しは、勉強したらどうですの?」
「いやいや、SNSとはいえ、馬鹿にはできないよ。そういった人たちが、文化を作ったり、経済効果を生み出したりしているんだよ。まぁ、あまり認めたくない気持ちもわかるけど……。」
1582年の出来事をきっかけに、瞬く間に雑談ムード一色に変化してしまった。
「うるさいぞ!黙らんか!SNSだか、パリピだか、よくわからんワードばかり使いおって。集中しろ!……、すまん井藤紗季、1582年の出来事は思い出せたか?」
井藤
「重じい、思い出した!明智光秀が織田信長を討った。」
「そうだ。よく、思い出したな。そして、それから……」
田中先生、重じいの声を鋭く遮るようにして、言葉を発した。
「あの毛利を討つため、京都に滞在したところってやつか?」
その声の主は、藤崎
「本能寺!HONJOJI! 」
そう言い放ったのは、
「そんな信長公は、締まった体つきをしているらしいって。声も甲高いとか、何とか言っていた気がするよ!」
先ほどから、体について述べるのは、
「信長は、人心掌握について長けていたそうですね。今では、心理テクニックの一つとして使われているものですが、それをあの時代で使っていたそうです。やはり、合戦の中で、様々な経験をされた方は考え方が違います。」
そう冷静に分析する彼女は、石川
「しかも、信長は、経済、経営のセンスがありますしね。一向一派を討伐するのは、その土地を支配し、どうしても船運を手に入れたかったと。歴史上の天下人は、土地を支配しても、その先のことを考えなくちゃ。織田信長といい、平清盛といい、本当に凄いと思います。」
ビジネスの手腕に注目する彼女は、
クールビューティー 井藤 紗季 通称 サキ
サバサバ系 藤崎 三重 通称 ミエ
ハイブリットギャル系 万年青 礼 通称 レイ
ザ・筋肉女子 枳殻 万居 通称 マイ
ある意味お嬢様 石川 芍薬 通称 シャク
妹系!? 江風 万智 通称 マチ
彼女達6人は、一見、普通の女子高生だが、それぞれが異色な経歴を持っている。しかし、それは、彼女達の間で知っていることであり、他の高校生達は知らない。
そんな姿を見て、そのクラスのある男子高校生は、ぼそっと呟いた。
「あいつら、いつもうるせえな~。あいつらが、喧嘩になったらどうなるんだろう。……あまり、考えたくないわwww。」
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