【ー天災ー】58

「あ、サンキューなっ!」


 そう和也に渡された布団を受け取った直後、


「な、和也、その布団は誰のだ?」

「ん? 俺のだけど」


 和也はもう寝る準備をしているのかベッドの方からうつ伏せの状態で答える。


「和也は布団いらなくていいのかよ」

「別に寒くねぇし、ま、平気って言えば平気かな?」

「やっぱりかぁ……」


 望は一つため息を吐くと、


「今はお前は元気なのかもしれねぇけど、風邪引いたらどうすんだよ! 雄介! その布団は和也へ返せよな!」


 そう何だか怒って言っているように思える望に、雄介は、


「はぁ……ま、俺は布団無くても平気やねんけどなぁ」


 そう言うと雄介は和也へと布団を返すのだ。


「はい」

「あ、ああ?」


 そんな望の言葉に腑に落ちないような表情を見せる和也。 そこが気になったのか和也は、


「じゃあ、雄介はどうすんだよ」


 何故か和也は頰を膨らませてまで言うのだ。


「俺と一緒に寝ればいいだけの話だろ?」


 そんな事を言う望に雄介と和也は視線を合わせながら目を丸くしていた。


 どういった風の吹きまわしなんだろう。 さっきまで望は雄介に対して頰まで叩いて怒っていたのに今はもうこんな調子だからだ。


 そしてそんな望に和也はクスリとすると、


「望がそういう風に言ってますけどー! ま、まぁ、良かったんじゃねぇ? 雄介! やっぱ、お前等って本当にラブラブなんだな。 とりあえず、俺はもう寝るっ! もう! お前等が熱すぎて見てらんねぇし!」


 和也はそう言うと布団の中に潜るのだ。


「あんなぁー!」


 と雄介は和也に何か抗議しようかと思ったのだが、その時にはもう和也の姿はなく、どうやら本格的に布団に潜ってしまっていた。

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