【ー天災ー】7
そしてもう既に現場へと駆け付けて来ていた消防車からは放水がなされている。 雄介は所属している春坂消防署消防隊員も準備をすると、消火活動を始めるのだ。
だがその直後、雄介の後ろの方にいた女性が必死に「まだ、この中にウチの子供がいるのよっ! 助けてよっ!」と言う悲鳴みたいな声が雄介の耳へと入って来た。
「……へ? もう、他の消防隊員が人命捜索したのと違うか!?」
と雄介はその女性の声に独り言を漏らす。 そう火災現場において先に人命救助の方が優先であって消火活動も同時に行うのが普通の事だ。 それに雄介達消防隊がこの現場に着いた頃には沢山の消防隊が来ていたのだから、その消防隊が人命救助をしている筈なのだからだ。
まだ本当にこの中に人がいるのであろうか?
ここは消防隊員を信じればいいのか? それともこの女性の言葉を信じた方がいいのか?
それなら火災現場に入ってみて何も無ければいいんじゃないのか?
じゃあ答えは一つ!
雄介の頭の中には火事現場に入って行って確かめてくる。 という答えが出てきたようだ。
「すいません! 自分の子供は何階にいるんですか?」
雄介は被っていたヘルメットを取って未だに叫んでいるその女性へと近付くと雄介は満面の笑みで優しく声をかける。 今は完全にパニック状態のその女性。 だから落ち着くまで待つしかなかった。
すると、
「……じゅ……階の……1020号室……です」
もうその女性の声はガラガラで絞り出したような声に、雄介は、
「十階やなっ! ほな、俺が見てくるし、安心して待ってて下さいね」
そう雄介は告げると十階へと向かう準備を始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます