【ー記憶ー】112
望からの久しぶりの電話に雄介の顔は緩み放しだ。
しかも今の望は雄介の事を『お前』ではなくちゃんと『雄介』と呼んでくれていたのだから。
どうやら本当に望の記憶は戻ったらしい。
雄介の体は今まで研修で疲れきっていたのだが、今の恋人の言葉で立ち上がる。
これが愛のパワーという所であろうか。
「よっしゃ! 明日からまた暫く研修頑張んぞ!」
そう雄介はベッドの上でまた気合いを入れると、再びベッドの上に横になる。
後数日頑張れば研修からは解放された雄介。 そして望にも会えるのだから楽しみで仕方がないようで、本当に今までの疲れが吹っ飛んでしまいそうな感じだ。 しかも研修の方も後数日の辛抱だ。
それから数日後。
研修先から春坂市へと帰って来た雄介は荷物もそのままに真っ先に望が働いている病院へと向かう。
病院に到着した雄介なのだが、今はまだ午前中。
ロビーとか診察室の前にはまだ患者さんが待っている時間でもある。
それでも構わず雄介は今日の外来担当は望だというのを確認すると、雄介が向かったのは、
「望!」
「ちょ、お、お前まだ診察中だ! 話は後で聞くから、とりあえず今は外で待ってろよっ!」
久しぶりに望に会えると思っていた雄介はどうしても、いてもたってもいられなかったのか望がいるであろう診察室へと入ってしまっていたのだ。
望は雄介の顔を見ると一瞬は顔を赤くしたものの、とりあえず雄介の背中を押して追い出す。
雄介らしい行動に望らしい行動なのかもしれない。
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