　今日もしあんな事がなかったら今頃、自分達は休日を楽しんでいたのかもしれない。

　病院の帰りに見える夕日を眺めながら雄介はデパートへと車を取りに向かうと家路へと向かう。

　せっかく望に『一緒に住まないか？』と誘われた直後の事だ。

　今日からでもデートを終えた後に雄介だけ望の家に行くようにして、後の荷物等は休みの日に運んでいけばいいとも思っていた矢先にこんな事になってしまった。

　でも今はその望は今は家にはいない。

　主人がいないのでは流石に勝手に望の家のは行けないだろう。

　そして、あんな事がなければ自分の家に帰る事もなかったのかもしれない。

　明日からは雄介の方も仕事がある。　今日はもう遊んでいる場合ではない。

　恋人が記憶喪失になってしまったからって、くよくよして休んでいる場合でもない。

　雄介がやっている仕事というのは助けを求めている人達は沢山いるのだから。

　逆に言えば記憶喪失というのは記憶が戻らないという事はないのだから望の記憶が戻るまで今は待つしかない。

　ただ、それが明日か一年先かというのは分からない。

　雄介は少し家で、そう考えていたのだが何かこう吹っ切ったようだ。

　立ち上がると、

「ほな、飯でも作るかっ！」

　雄介がご飯を作り始めるとテーブルの上に置いておいた携帯が震え出す。

　かなり短い時間で止まったのだからメールのようだ。

　だが今は料理を作っている為に手が離せない。　別に望以外の人物からだったら、そう急いで出る必要もないと思ってなのか作り終えてから見ることにしたようだ。

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