【ー記憶ー】71
「い、一般の方に急に斧なんて渡せませんよっ!」
「アホかっ! 俺も同じ消防士やっ! 消防士じゃなかったら、斧なんて言葉出て来ないやろっ! 早よっ! 貸してっ!!」
そう雄介は切羽詰まったかのように言うのだが、その消防士は雄介には渡さずにそのシャッターを壊し始める。
そして人一人通れるようになると、雄介は直ぐに中に入ってシャッター付近でぐったりとしている望に声を掛けるのだ。
「望! 大丈夫かっ!」
雄介は望の事を抱き抱え直ぐに外へと連れ出す。
「ちょ、ゆ、雄介……まだ、中に……げほっ! 人が……はぁ……はぁ……」
望は薄ぼんやりと瞳を開けると腕を上げて中を指差す。
雄介はその望が指した方向へと視線を向けると、さっきまでは無我夢中の中にいたから気にしなかったのだが、さっきまで居たファーストフード店の中は凄い事になっていた。
シャッターの向こう側に見えるファーストフード店。
そこは先程まで、あんなに賑わっていたのに火事の影響で一部の机も椅子も店内も丸焦げで今はその面影すらもない状態だ。
確かにスプリンクラーは作動したようなのだが、焦げた店内にそのスプリンクラーの水滴がポタポタと垂れ床をも濡らしていた。 本当に望以外で、この中に人なんかいられたのであろうかという状態になっていたのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます