【ー記憶ー】70
「と、とりあえず、このシャッターを壊すだけなんやけどな」
雄介は辺りを見渡し何かこのシャッターを壊せる物を探す。 だが近くにそんな物はなく、
「ホンマはこう斧のようなもんがあったら、ええねんけど……流石にあるわけないわぁな」
火災報知器が鳴り響く中、外の方からはサイレンの音が鳴り響き始めてくる。
きっと階下には消防車が何台も来ているのであろう。
だが今はそれを気にしてる場合ではない。 消防隊が来るのを雄介はここで待っているか、何かシャッターを壊す物を探して望の事を助け出さなければならないのだから。
そう何かないかと考えていると、やっと消防隊が雄介の元へと来るのだった。
「大丈夫ですか?」
そう優しく雄介に声を掛けてくる消防隊員。
だが、その消防隊の到着の遅さに苛立ちを隠せなかったのか声を荒らげる。
「俺の方は大丈夫やって! そんな事より斧は持っておらんのか!? この防火シャッターの向こうにはまだ人が残って居るんやって! このシャッターを早く壊さんと人助からんぞ!」
そう怒鳴り声に近い感じで言う雄介なのだが、今の雄介は私服姿なのだから消防隊員からしたら完全な一般人だ。
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