　そう雄介の方は遠慮気味に言うと、自分の言い訳を始めたようだ。

「そんな事言うたら、望の事やから絶対に家に来るなぁ！　って言うやろ？　俺はどんな状態であっても望に会いたいねんって」

　そこで望はひと息吐くと、

「まったく、俺が早くこの事に気付いていれば良かったぜ。　仕事を終えて、疲れた体で来て、少しも休まずに自分の家に帰って、そんな事続けてたら、体がもつ訳ねぇだろ？」

「もつわぁ」

「……ったく。　何が『もつわぁ』だ！？　現に持ってねぇじゃねぇかよっ！　はいはい！　さっさと横になるっ！」

　望は夕飯をそのままに雄介の腕を引っ張って二階へと連れて行くのだ。

「ちょ、ただの風邪やし平気やってー！」

「平気じゃねぇっ！」

　そして雄介が連れて来られた部屋というのは、どうやら客間の方ではなく、

「な、ココお前の部屋と違う？」

「え？　あ、まぁ……他の部屋は最近掃除してなかったからな」

　そう雄介に指摘されて急に恥ずかしくなってきたのか完全に雄介から視線を逸らしてしまっている望。

　そう望は初めて雄介の事を自分の部屋に連れて来たからだ。

　きっと彼女が彼氏の事を自分の部屋に呼ぶ時というのは今の望と同じ気持ちなのかもしれない。

「あ、ああ、なるほどな……それで、俺を望の部屋に連れて来てくれたって訳なんやな？」

　雄介の方は望の話を真に受けてくれているのか、そう素直に受け入れてくれたようだ。

「ほら、横になれよ」

　そうぶっきらぼうに言う望なのだが、ベッドに寝るようにと雄介に促す。

「おう……ああ、せやな」

　とりあえず雄介は素直に返事をすると望のベッドへと横になる。　その間に望はベッド横にある引き出しの中から体温計を出すと、

「熱、それで計っておけよ。　その間に俺は下から薬持ってくるからさ」

　望はそう言うと、雄介に体温計を渡すのだ。

「ああ……おう……あ、ありがとうな」

「ま、飯は一応食ったし、薬を飲んでも大丈夫だよな？」

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