第65話
「取り敢えず。今日はここに泊まって。明日帰るってことで良いんだね?」
仕事自体はしっかりしている様なので、そこまで怒ったりはせず、ワタリガラスにこの後の予定を確認する。
「何?今すぐ帰る?君たち兄弟がお世話になってる分。ケルラさんにお礼の品の用意が有るんだから。泊まっていけ」
帰ろうとするワタリガラスを無理やりテント内に連行する。
「ってな感じで、こいつらケルラさんの家で堂々と飼われてるみたいだから。手紙とか書いたら持って帰らせるよ」
アレーネからしたら幼なじみで親友だろうから、手紙が簡単に出せるなら出したいって思うかもしれないし。
ケータイやスマホみたいな、個人で簡単に所有できる遠距離通信手段が存在しないからね、この世界。
組織単位なら遠距離通信手段を所有しているところも多いみたいだけど。
「わかったわかった。ほら、これあげるから、大人しくしてて」
なおも逃げようと暴れるワタリガラスにビックハニービーの幼虫をカード化を解除して与える。
カラスだし、こう言うの好きでしょ?
ほんと世話がやけるカラスだな。
タダのカラス扱いするとか、舐めとんのかワレェ。
みたいな感じで騒いでたけど、体は正直なようで。
ビックハニービーの幼虫を凝視している。
ビックハニービーの幼虫を左右に動かすと顔を動かして追ってくるし。
じゃあ、勿体ないけど。森に捨てて来るよって言ったら。
そんな勿体ないことするなら仕方がないから俺が食べてやる。仕方なくだぞと嬉しそうに食べ始めた。
ほんと、めんどくさい奴だ。1回上下関係を叩き込んだ方が良いかもしれない。
と言っても普通に強いからなコイツら兄弟。
1対1ならまだしも、2対1だと今の俺じゃ勝てない。
と言うか自由に飛べるってのがズルいよな。
こっちの遠距離攻撃手段は限られてるって言うのに。
ワタリガラスたちをお仕置できるように、遠距離攻撃手段を増やしておかないと。
「それじゃ、遠慮せずに手紙を書かせてもらいます。それにしてもこの紙、凄いですよね」
この世界だと、羊皮紙か薄い木の板かパピルスみたいな紙だもんな。文字を書く用紙として使われてるもの。
こんなに真っ白な紙を作るのは無理でも藁半紙ぐらいなら作って販売できるかな?
アレーネは最初に会った時に自分のお店を持つのが夢って言ってたからな。地球の製品を再現して、販売するお店の店長を任せるってのも良いかもしれない。
この案を実行するにしても、アレーネが自衛できるレベルで強くなってからだけどね。
「流石に、そのレベルの紙を自分たちの手で作るのは難しいけど。この世界の紙よりは品質のいいものは作れると思うよ。当然、試行錯誤は必要になると思うけど」
「それは夢が広がりますね」
作り方についてほんと簡単に説明する。
手紙を書くという本題を忘れてそうなので、いい感じのところで、そう言えばレベルを上げて貰うために神像に祈ってくるねと言って、その場を離れた。
帰ってきてから神像に祈ってなかったからな。
フォーアームベアーにトドメをさしたのは俺じゃないけど。分体が倒した魔物の分の経験値は入るので、少しはレベル上がってるだろう。
(レベルが16に上昇しました)
1レベルしか上がらなかったか。
まぁ、こんなもんだろう。
フォーアームベアーにトドメをさした沙希は19レベル。
アレーネは本人が12レベルで、精霊が13レベルまで上がったようだ。
今の俺たちのレベルってどれぐらいなんだろうね?
(中間ちょい下と言った所でしょうか?中級冒険者でも苦戦する。Cランクの魔物をホイホイ狩っていますし、レベルアップのスピードは早いと思いますよ)
レベル10後半で、中の下ってほかの人たちのレベル低すぎるでしょ?って思ったけど。
10レベル刻みで、必要経験値が跳ね上がっていくって話だし。
仕方がないのかも?
だからと言って、レベル上げの速度を緩めるつもりは無い。
上げれば上げるほど強くなるんだから、最終的にはカンストしないと。
カンストが存在するのかも知らないけど。
(レベルは100がカンストですよ)
永遠に上げ続けられるのも好きだけど。
カンストが存在する方がカンストさせるぞーってモチベーションが上がる。
(ただ、私の集められる情報の中ではと言う話なので、レベルを100以上に上げる方法が存在しないと言う保証も有りません)
魔導知能の知らない情報も沢山有るみたいだし。その可能性を否定することは出来ないか。
それならそれで、その方法を探すってのも楽しそうだ。
レベル100になるのに、どれだけ時間がかかるのか、見当もつかないけど。
ある程度レベルが上がったら、魔獣大陸にいかないと、1レベル上げるのに相当時間がかかりそう。
この島より闇神の魔力が濃い場所って事は、ランクの高い魔物も沢山いるだろうし。
後はお米の確保って言う重要な用事もあるからね。
魔獣大陸には絶対に行かないと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んで頂き有難うございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます