変態の耐えられない重さ
石濱ウミ
第1話 変態恋愛マスターは妄想がお好き
この物語は、幼馴染に究極の変態……じゃなかった偏愛を注ぐ一人の男の
「…………」
今朝、いつものように幼馴染の少女の背後を、ねっとりと熱心に見つめながら同じ学校へと向かう
一つ目は、目の前の幼馴染のお尻である。
いや、正しくは見えそうで見えないけれどチラチラ歩くたびにチョット見える気がしないでもない、お尻、である。
なぜなら彼女の制服のスカートの裾が、あろうことか家を出た時からパンツに挟み込まれており、自分としては、この見えそうで見えないある種の奇跡を生み出していると言っても過言ではない芸術的なスカートの長さや
しかし、そう長くも堪能してはいられない。最寄りのバス停は、目前にまで迫りつつあったからである。
「……
「……?! ふ、ふえッ? うぎゃ……
「や、
「ぐっ……」
恥ずかしさから、ちょっぴり涙目になった
もちろん、家に帰ってからイロエロ物事を歪曲しつつ
停留所でバスを待つ間に、
二つ目の気掛かりなことは、最近どうも
それが発覚したのは三日前の放課後、
それもそのはず
つまりは、今の自分と同じように
俺の
「……悠ちゃん?」
どうやって見知らぬ相手の妄想までをヤメさせようかと考えながら、バス内のなかなかの混み合い具合にさりげなくあからさまに
「
「人見知りってのは、顔見知りとは違う」
「もう少し離れて下さい。鞄かナニかが、腰に当たってますからって
「怒ってナイし、ナニも……何でもない。それより
「変わったこと、ですか? んー? ナイかなぁ……あ、そうだ。
「だ、だッ駄目だから。アレは洗ったら絶対ダメだから洗えないから
「えー……?」
「マジでそれ、スパゲティの生る木と一緒だから」
「観たの四月一日じゃなかったような……」
「収録日が四月一日だったんだろ」
今やバス内の全乗客が二人の会話に
「とにかく洗濯は、諦めろ」
「うーむ、残念」
お前の頭がな、と顔
「あ、そうでした。変わったコトとは違うかもしれないけど、わたしに
「そんなん別に、珍しくもないじゃん」
「きひひ……それが……むふふ」
「……なんだよ?」
半ばウットリと
「色白のすっごい可愛い子なんです。何でもお祖母さまがフランス人らしいんですけど、色素も薄くて瞳の色が不思議なくらいに複雑でそれはそれは綺麗でって聞いてないですね?」
「聞いてる聞いてる」
「なのに以外とSっ気ありそうなんですよ。そんなだからネコっぽいと思わせて、実はネコよりのリバ……とか妄想しちゃってムフむふふ。聞いてますか?」
「…………って聞いてナイ……なぁ? ちょっと待てソレって……」
「聞いてたんじゃないんですか?
タチだのネコだの
男女の恋愛に憧れを持つ
「でね?
「それ、いつどこで話したの? 何時何分地球が何回周った時?」
「え〜何ですか、それ。そんなの今どき小学生だって言いませんから……ってち、近いです
「いつ? どこで?」
「昨日、園芸部に入部してくれたんです。ハジメテの後輩なんて……ね、可愛いでしょ?」
「園芸部じゃないから。
「凄い食いつきですね。やっぱりクウォーターならではの美しさに興味が……あ、学校前です。降りますよ、
バスを降りてから昇降口に向かうまでの短い間に
しかも今日のその放課後に花壇の花買いに行くとか何だその速さ電光石火ってどこに着火しようとしてるワケ? と
あちこちで上がる黄色い歓声と
「おはよう
「
「ええ、僕の心を込めて書いた手紙が
「……誰っていや分かるけどマジか」
思わずあんぐりと口を開けた
つづく……。
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