夏とクーラーとカレシ。
夏生まれなのに夏が嫌いである。元々風呂に入るのが苦手で、しかし汗をかいたら汗臭さに負けて風呂に入らなければならず、それが嫌で夏はほとんど外出をしない。いつもよく行くカフェにも足が遠のき、「入院してたのかと思ってたよ」と言われるくらい引きこもる。
ところで私の住むマンションはとても古く、東に窓があるので、冬は暖かくてよいのだが、夏は地獄と化す。そこでエアコンの出番になる。クーラーの設定温度は二十二度。一日中つけっぱなし。カレシが太っていて外で働く仕事で、とても暑がりなので、クーラーは必須なのだ。電気代は爆発的に上がるが、致し方ない。私も太っているので、暑いよりは涼しい方が好ましい。汗もかかないし。
しかしそれにも限度がある。涼しいを通り越して寒いのだ。私の体温センサーは足にあるので、足が冷たくなると自律神経か病気か解らないけれど調子がおかしくなり、控えめにいって抑鬱状態になる。それが暑さが長引く近年、十月くらいまで続く。カレシの居ない日中はクーラーを切ればいいのだろうが、湿度の高い日本に住む私は、蒸し蒸しすることに耐えられない。ニュースでも昼間は躊躇せず冷房をつけろといっているし、熱中症で死ぬのはこの歳ではまだ若すぎる気がする。
そうなると、夜だ。夜なら多少気温が下がるし、少しくらいクーラーを切ってもいいのではないだろうか。カレシは夜中に起きて仕事に行くので寝るのが早い。いびきが聞こえてきてしばらくして、電源を切る。それでも一日冷やした部屋はそれほど暑くもない!と思っていると……
寝室から、ぱた、ぱたと音がする。タオルケットをうちわ代わりにしているカレシが居るのであった。それを聞こえないふりをしていると、「やっぱりクーラーつけて……」とリクエストされてしまう。睡眠時間四時間のカレシの眠りを妨げたことに申し訳なさを感じるので、この手も使えない……!結局靴下を履いたりして対応するしかない。
ちなみにカレシは家に居る時は半袖に下はパンツだけである。一年中。そして十二月のアタマくらいまでは、仕事中も半袖でトラックで冷房をかけていたりする。さすがに出勤や帰宅時はバイクなので寒い寒いと帰ってくるが、家でお風呂に入るとすっきりして半袖パンツ姿に。よくもまあ風邪などひかないものだ。インフルエンザなどにはかかりやすいタイプなのだが。
そんなわけで夏場の私の足は冷たい。
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