Hero Swordplay Showdown

大虎龍真

序章:IMMORTALS

01 登場人物紹介




・ハーク


 本名ハーキュリース=ヴァン=アルトリーリア=クルーガー。この物語の主人公。本来の姿は身長153センチ、体重51キロの少年である。魔法の得意なエルフ族でありながらも、刀を使った近接戦闘では右に出る者のいない剣技の達人。

 旧世界の支配者であり現世界においても悲劇の元凶と見定めた魔族との戦闘の際に重傷を負い、従魔である日毬の命を賭した援護を受けて世界最強のドラゴンと融合、龍人となる。

 日本の戦国時代から江戸時代初期まで60余年生き抜いた、日の本一とさえ称えられた剣士としての記憶を持っており、ハーク自身はずっと異世界転生したものとばかり認識していた。が、実際には彼の前世より1万4~500年の後の時代に、普通に転生していただけであると判明する。

 生命の領域を既に超越しており、本気で戦えば地球の形状を変えかねない。もはや鑑定などが可能な存在でもないが、敢えてその強さをレベル換算するのであれば120を超える。



 主な所持能力


 『龍魔咆哮ブレス


 普通のドラゴンからすれば、最強の攻撃手段。名の通り魔力を籠めた咆哮であり、喉元の逆鱗装甲の内側にあるブレス袋によって破壊の力へと変貌させる。ハークが本気で放った場合、その熱量により進路上の全てのものを融解、蒸発させてしまう可能性があるため、地表近くで使用することはできない。


 『仮想領域作成クリエイション・イマジネーション・エリア


 脳の未使用余剰区域を再利用する『龍言語魔法』。これ単体では意味を成さない。PCのハードディスクドライブに相当する。同じ魔法で作成した他者の仮想領域と相互通信が可能で、後に続く様々な『龍言語魔法』に対応する。


 『映像記録フッテージ


 一度眼にした映像を記録する。仮想領域に保存して、いつでも閲覧可能。


 『完全再現リプレイ


 技や魔法を一度眼に収めただけで原理まで解析し、それが自らの肉体や魔法力などで再現可能であるならば、名の通りに完全再現してしまう能力。ただし、前提となる技術や知識を全く習得していない、所謂ゼロの状態からでは流石に再現不可である。


 『森羅万象サーチ


 仮想領域に保存された知識より、必要とする事柄を適時探し当てることができる。所謂、検索能力。1万年の間に龍族が貯めに貯めた情報全てに適用が可能。


 『武装解除アームブレイク


 触れている武器や防具など、装備品を容易に破壊してしまう能力。龍族を地球の最強種たらしめた能力であるが、自他共にもであるため人類の利器も利用可能な体型とサイズである龍人にとっては微妙な能力である。完全な常時発動型パッシブであるため、一度発動すると任意での停止はできない。ハークは空龍の牙を素材に使用した刀身に、柄や鞘など付属品を全て龍麟と龍皮とで補強した大太刀、『天青の太刀』のみ使用可能である。


 『可能性感知ポテンシャル・センシング


 ごく直近に起こる未来の出来事を予測し、その未来を術者の望む結果に変えるための方策を探ることのできる魔法。平たく言えば未来を変えるための魔法である。当然に、年経た一部の龍種しか習得することはできないが、使用したからといって確実という訳ではなく可能性を高める程度であった。しかし、ハークが生命としての限界を突破したことによって演算能力が飛躍的に高まり、僅かに残る断片から過去を把握し、未来の流れまでをも予測する魔法となった。


 各種刀技


 人間時代、ひたすらにハークが己の身体に刻み込み、研鑽を重ねた刀の技術、そのすいを集めた技の数々。進化した彼の身体能力と、新たなる力を加えたその威力たるや如何に。




・虎丸


 ハークの身を護り、ずっと共に戦ってきた従魔であり相棒。元は魔獣から派生した精霊獣という、半不滅の存在であったが、ハークと共に生命の軛を超えて更なる進化を果たした。彼女も既に鑑定を行えるような存在ではないが、無理矢理にでも換算すれば110後半。元々スピード特化型であり、現在も機動力と最大速度に於いてはハークをも上回る。ただし、燃費は若干悪い。

 本来の姿は体長5メートルを超える白を基調とした虎型の獣。顔に紅い隈取にも似た紋様が発生し、身体の方にも白と黒の虎柄に時折紅色の毛が混ざり、更に四肢には浮世絵に描かれた雲のような飛行用噴出装置が常にひっつくようになったが、これら全ての変化は普通の人間や魔獣、魔物には見えない。

 所謂女性体なのだが、ハークに、第一印象からよりにもよって本来は男児に付けるべき名前を貰ってしまったものの本人は気にも留めていない。こういった雌雄に無頓着な事を含めて、人間の機微を理解していなかった面もあったが、妹分であった日毬の力の大部分を受け継いだことによって大幅に改善されている。また、日毬の生前の隠れた願いでもあったのか、人化も可能となった。その姿は身長155センチメートルとやや小柄ながらバストは3桁台と無茶苦茶なプロポーションを持つ。



 主な所持能力


 『風の王』


 自身の周囲の大気の流れを完全に理解、把握し、任意で操ることもできる能力。本気を出せば、範囲は地球上の8分の1ほどまでに及ぶ。また、周囲に大気が無い場所であっても、彼女を中心に発生させることも可能。


 『神獣咆哮ハウリング・ブラスター


 『風の王』からの派生能力で、ドラゴンの『龍魔咆哮ブレス』によく似た破壊の咆哮。超圧縮によって超爆裂衝撃波ビックブラストソニックを発生させる。原理としては空龍ガナハ=フサキが使っていたものと良く似ているが、威力は段違いに高く、もしも地表近くで発動すれば大嵐を複数発生させる原因と成りかねない。


 『変形トランスフォーム


 日毬の能力の一部を虎丸が引き継いだ際に、若干変化した能力。人化を行うために必要だが、ドラゴンなどの一部の人化が可能な存在と異なり、年齢や背丈、体格までをも僅かながら弄ることができる。虎丸の種族が所持していた体重を無意識に変化させる能力もこれに統合されており、トン単位に変化して打撃に強烈な重みを付加することもできれば、木の葉レベルとなって水に浮かぶことも可能。


 『風の報せアナザーセンス


 これも日毬の能力の一部が虎丸に乗り移ったもの。『変形トランスフォーム』同様に若干の変化を見せている。自身や周囲の仲間の危機を正確に感知できる。ただし、未来予測まではできない。


 鍛えた技の数々


 精霊獣となってから、主人であるハークと共に修練した経験と技は健在。特に『ランペイジ・タイガー』は更なる磨きがかかっている。




・エルザルド


 本名エルザルド=リーグニット=シュテンドルフ。最高齢にして最強の力を持つドラゴンであったが、正気を失い、ハークによって退治されるような形で自滅する。彼に恩義を感じたことから自身の魔晶石に生前の記憶の全てを封じ込めた意識体となり、ハークの旅路に同行することとなった。健在であった頃のレベルは生命の限界値でもあるレベル100。

 魔族との決戦の最中、生前の肉体と共にハークと融合。意識と記憶のみの存在であったため推測など考える作業を不得意としていたが、圧縮空間の疑似脳と直結することで生前以上の思考能力を取り戻している。所謂サブ脳としても機能できるため、ハークが眠ったりなど意識を失っている時には肉体を代わりに操作することも可能。今のハークに睡眠は不要だが。

 ハークが現在所持している龍族固有の能力は全てエルザルドが由来。また、魂が無いために、将来的には知識の全てを譲ってからエルザルドの人格と精神もハークの中に溶けて融合、吸収されることが決まっている。ただし、約1千年以上先の話であり、場合によって1万年後であるとも予測されている。




・日毬

 ハークにとっての虎丸に続く2体目の従魔であり、虎丸にとっては可愛い妹分であった。種族はエレメントシルクモスという精霊種の一種で、全長は人間の手の平サイズから3メートルに迫るほど自由自在。蝶と蛾の意匠を混ぜ合わせたような美しい6枚の翅を携えた姿を持ち、飛行能力と共に特化された風と土と水の属性魔法によってハーク達の旅路を助けた。

 実はカイコガから進化した種であり、人類と共に生きる性質を持つ。そのため周囲の同族や縁の深い人間とも同調ができ、特殊な育ち方をした日毬は特にこの能力に優れていた。最終的には爆散し、ハーク達の周囲に自分の細胞をばら撒くことで、その同調能力によってハークの龍人への進化を促し果てた。




・ヴィラデル

 本名ヴィラデルディーチェ=ヴィラル=トルファン=ヴェアトリクス。エルフ族の成人女性で、ハークとは同族であった。ただし出身地は別であり、ハークが森都アルトリーリア出身であるのに対して、ヴィラデルは砂都トルファン出身。金髪で褐色肌の妖艶な美女。

 1年ほど前までは互いに反目し合うとまではいかぬまでも仲はお世辞にも良いとはいえず、特にハークからは一方的に警戒されていたが、徐々に戦友と言える間柄となっていき、やがて信頼の置ける仲間同士となった。これは最強を目指す彼女と、剣の頂を目指すハークとの精神上の嚙み合わせが、如何せん当初は最悪に近かったというのが大きい。それが時を経て、1つの確信を得たハークに対し、一方でヴィラデルは別の、自身の夢に匹敵するくらい大切なものを無意識に発見していたことによって、自然と互いに歩み寄る形となっていたのであった。

 ハークにとっては魔法の師匠であり、ヴィラデルにとっては逆にハークが剣の師匠であった。お互い師事した期間は半年間程度の短いものであったが、眼と記憶力の良いヴィラデルは彼の教えをずっと守っていくこととなる。




・シア

 本名スウェシア。種族はジャイアントハーフであり、女性でありながら身長2メートルを超え、戦士として高い適性を持つ。先祖返りで、古都ソーディアンでは謂れ無き差別を受けてもいたが、鍛冶師とそして冒険者という2足の草鞋を履き、逞しく生きていた。

 ハークとは人間種としての最初の仲間であり、彼のおかげで刀の製造技術に精通。恩師であるモンド=トヴァリと共に2度に渡りハークの愛刀を誕生させた。虎丸を除けばハークにとって最も付き合いが長く、信頼し合えた者同士。互いに恩義を感じ合う間柄でもあった。刀というものを教わったことによってシアは人生が変わったと認識しており、一方のハークが現在も愛刀『天青の太刀』を振るうことができるのは、彼女と出会えたからだと確信している。

 これからもシアは、数多くの名刀を世に送り出すこととなる。




・モログ

 人間種最強とも称されていた冒険者。故人。魔族との戦いで敵と相打ちとなり、命を落とした。大らかで細かいことにはこだわらず、常に弱きを助けるため手を携え続けた人物。その生き方は多くの人々に影響を与え、これからも与え続ける。

 武器を用いず、己の身体1つで戦い抜く『皆の希望にして皆の王者プロレスラー』。同じ接近戦でありながら、ハークとは全く戦い方が異なっていたものの、互いにウマが合う仲であった。




・ハークの仲間たち

 モーデル王国の新女王アルティナ。その幼馴染で善き理解者で現在の右腕リィズ。そのリィズの父親であり、ワレンシュタイン領の領主であるランバート。彼の部下フーゲインや同軍の兵士たち。後に救国の英雄と称されるシン。彼らは皆、ハーク達の無事と帰還を祈っている。




・最古龍のドラゴンたち

 生前のエルザルドと同じく数千という時を生きた最も古き龍たちのこと。身体の大きさ、実戦の戦闘能力から姿形、体色、考え方、趣味趣向、全てが全く違う者たち。

 エルザルド亡き今、アレクサンドリア=ルクソール、ガナハ=フサキ、キール=ブレーメン、ヴァージニア=バレンシア、アズハ=アマラ、ダコタ=ガイアスリナム、パース=キャンベラ、ロンドニア=リオ、ボルドー=マルサン、ブルガリア=アールレン、ガルダイア=ワジの計11柱。この内、ガナハとヴァージニアにはハークも面識があり、特にガナハからは牙を贈られており、後に『天青の太刀』の刀身部分の元となった。生物としては他種を圧倒する能力を持つ。世界をどうにかできるが、そんな事には興味が無い存在とも言える。逆に言えば、この中の誰かがそういった野心、野望を抱けば世界は大混乱に陥りかねない。

 現在、アレクサンドリアの指揮の元、ガナハ、キール、ヴァージニア、アズハ、ボルドー、ブルガリアの7柱は、エルザルドの死の原因と真相を究明するべく行動中。




・赤髭卿

 名はヴォルレウス=ウィンベルと伝えられる。約300年前のモーデル王国建国時に大きく活躍し、西大陸に於いては歴史の転換点を造り出した人物とも考えられている。

 かなり長寿な人物であったようだが、所詮はヒト族であり、既に故人である。と、伝えられていた筈だが、龍人となったハークの前に彼と同じような姿で現れる。




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