第12話 初めてのデート③' 拓人side

 どうも、すみません!遅くなりました!

 著者の新高校1年生(もうバラしちゃいます笑)の"そんなバナナ"です。新規課題が予想以上に多く、困難に直面している日々です。毎日少しずつ執筆を進めていたのですが…スマホの機種を変えたことにより、データ移行で少し時間がかかってしまいました。

 更新のない期間にも、本作品を読んでくださった人や、星で評価してくれた人も居ました。とても嬉しかったです。 

 遅くなりましたが、新しい話です。

 これからも、少し不定期になると思いますが、本作品をどうぞ、よろしくお願いします。

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 春川とのデートをひとまず終え、いつもの道に入り、やや夕暮れになってきた空の下、俺は一人で美久が待っている家まで歩いていた。 

 美久は今日、午前中は友達と遊ぶ約束があったらしく、朝食を食べたあとすぐに家を出ていった。美久は男子と関わることに関しては拒否反応を見せるようになったが、女子の友達はかなり多いらしい。

 美久とは違い、友達がほぼいない俺は別に寂しくともなんともないのだが、美久がそういう時に俺に言うのだ。


『遥輝さんと“あの人”以外に親しい人がいないなんて、虚しいよ。お兄ちゃんはもう少し周りの人と関わりを持つべきだよ』


と。

 “アイツ”に関しては、今はもう連絡を取り合ってないし、どこ行ったかもわからないから微妙だが。

 これを言うのが遥輝であったならば、軽く受け流しているのだが、美久が言うと、俺に対する圧が強いのだ。俺も思わず、『はい……』としか言えなくなる。

 遥輝がこれを聞いたら、また意味もなく騒がしく怒りだしそうだな。

 

「フフッ……」


 そう考え、少し口許を許してしまった。

 そういえば、俺と美久の共同作業によるお手製の編みぐるみを春川に褒められたとき、俺は思わず笑みをこの顔に浮かべてしまっていた。

 春川が不思議そうにしていたため、すぐに気付いて表情をもどしたが。

 多分……素直に褒められたのが久しぶりで嬉しかったのだろう。

 しかし、俺は気軽にそういった感情を表に出してもいけないし、まず味わってもいけない。

(……俺にはそんな資格を持つことさえ許されていないのだから)

 ……これは、俺が独りで勝手に己に課したルールであり、この事は美久や遥輝でも知らない。これは俺の、俺自身の、問題だからだ幼かった美久に伝えるのを、両親と俺が許さなかった。

 周りに俺の問題を背負わせるわけにはいかないし、そもそも、俺に背負わせる気は無い。

 仮に、俺がこれを誰かに打ち明けたとする。そうなった場合、その相手は俺に酷く失望し、離れていくことになるだろう。

 だから俺は、そんな状況を引き起こさないようにするために、周りと距離を取っている。周りと最初から関わっていなければ、俺に向けられる好奇や期待を俺が裏切ることも無いし、誰も傷つくことはない。

 まあ、例外はある。………遥輝だ。遥輝は何を言ってもくっついてくるから、もうどうでも良いやと思っている。

 例外は、美久もその対象だ。美久に関しては、ストーカーの事件があった後、少し精神面が脆くなってしまった。そんな美久に対して、余計なストレスは与えないようにしている。だから、美久の前では、ある程度暗い感情が胸の内を渦巻いていたとしても、気丈に振る舞うようにしている。

 辞めよう。この話を頭の中で思い出すのは辞めよう。そろそろ家に着く。美久に勘ぐられても困る。


「ただいま」


タッタッタッ


「お帰りなさい、お兄ちゃん」


 俺のマイエンジェル降臨❕エプロン姿で俺の前に現れた美久はやっぱり可愛かった。


「お兄ちゃん」


「ん?」


何だろう?


「来てるよ」


 誰が、とは言わない。美久は自分が言わなくても俺なら分かると分かっているから。

 俺は、その言葉を聞いて、リビングへ美久と向かった。


「お前、今週何回ウチに来るつもりだ?」


「おお、お帰り拓人❕大丈夫だ。今週は6回しか来ないから」


 声の主は遥輝だ。そう、コイツはやたらウチに来る頻度か高い。今もいつの間にかリビングに置かれていたマンガやゲームを床に広げながら、これぞ我が家、みたいな感じでくつろいでいた。


「お前はバイトが無い日以外は毎日来るよな。暇なのか」


「暇じゃねえよ❗️知ってるだろ、俺の家、武芸の稽古があったりして忙しいんだよ。どうして来るのかと聞かれれば、それは1択のみ。……俺はただ俺の妹同然の美久ちゃんの手作り料理を食べに来ただけだ」


「ハイハイ」


 美久も遥輝に対しては自然体でいられる。だからこそ、遥輝が少し大声でボケても軽く受け流けている。

 しかし、俺は遥輝に対しては言いたいことがある。


「美久はそう言ってるが。そもそも、美久の手料理は俺以外には譲らん」


 そう、譲る気は無い。美久の手料理は絶品なのだ。

 それを、こんな騒がしさが食事中でも変わらない底抜けのバカに理解出来るとは天地が引っくり返ってもあり得ない。


「お兄ちゃんもそんな意地悪言わない。ハイ、これをどうぞ。焼き魚です。今が旬のアユの塩焼きです」


「ありがとう、さすがは美久ちゃん!ケチな兄とはちょっと違いますね。これからはメシアと呼ばせてもらいます❕」


「さて、お兄ちゃんも帰ってきたことだし、夕食を食べましょうか。」


「ああ」


「「いただきます」」


「………ねえ、美久ちゃん」


「モグモグ…なんでしょうか?」


「何でしょうかっていうか、俺の魚ってどこ?塩焼きの」


「今遥輝さんがもっている器に乗ってるじゃないですか」


「これを魚とは言わないよ、美久ちゃん」


「どうしたんです?」


 首をコテンとかしげる美久。


 超可愛い。天使。


「可愛い仕草だけどもだまされないからね。これさ、“皮”、なだよね。しかも、指の間接一つくらいのミニサイズのちぎれたヤツなんだよね」


「それが何か?」


「美久ちゃんも何気に拓人の味方するから意地悪だよね」


「ヒドイですね」


 そう言って苦笑し、ちゃんとした料理を遥輝に出す美久。いつも通りの光景だ。

 ということは、そろそろ遥輝が帰宅するところだ。







「じゃあ俺、そろそろ帰るわ」


 食事を終えたあと、俺たちと散々遊んだ遥輝はそう言って、帰って行った。


「俺達も風呂はいって、寝る準備始めるか」


「ねえお兄ちゃん、久しぶりに一緒にお風呂入る?」


「え?いや、さすがにちょっとそれは…昔は入っていたけども今は色々…」


 そう、昔は、と言っても本当に美久が小学生になる前だから、本当にかなり昔のことだ。 

 それに、現在の美久との混浴はさすがにやばいかもしれない。

 どうしてもと美久が言うのなら目隠ししてでも入ってでもいいのだが、美久の体はさすがに"あれ"なのだ。同年代の男子にとっては目の保養であるかもしれないのだが兄である俺には毒なのだ。日中はともかく、風呂という空間となると、妙に美久のことを意識してしまいそぅだからだ。

 もし、俺のその動揺が美久にバレたら、兄として一巻の終わりだ。


「ふふっ、冗談だよー」


「……なんだ、冗談か。良かった」


 この頃、妙に美久がこういった誘いをしてくることが多くて困る。将来いじめっ子になったりしないといいが。


「ふんふんふふーん…」


 そんな俺の心配をよそに、美久は風呂はと着替えとタオルを持って歩いていく。…先程していたゲームの主題歌を鼻歌で歌いながら。




……なんだか今日は、いつもより色々と疲れた


           はぁ…

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