散り散り思考。
白雪工房
明瞭
ただ、思考は晴れ渡っている。
落ちた羊がめぇーと鳴いた。気のせいだった。雲になってしまう羊。星座になった人々。憐れまれた弱者達。なぜだか皆死んでしまった。どうやら愚か者は君らしい。積み木はいつだって軽く崩れ落ちる。木に縄をかける生活をやめたのだ。シチューがいい、それはきっと体を暖めてくれる。確かに芯が折れているらしい。壊れた時計はもう時間を刻めなかった。土を踏みしめたのは蹄だったろう。君がきっと喜んでくれるから俺も喜んだ。嘘吐きの言葉は信じられないね。家の裏にあったのは土を掘るための道具らしい。生爪が剥がれるのはとても痛い。真実はときに残酷だとか。目を逸らさないで話をしようぜ。薬指についたそれが何だって?人間ってやつはね、土に手を付けて生きるのができなくなっちゃったんだ。肉はナイフで綺麗に切れる。何千年もかけて蓄積したのがこの断面なんだぜ?ここから見るとあんまりに高いな。縄っていうのは役に立つ、罠を作るのだって簡単さ。地盤の裂け目ってやつは怖いね。結構酷いな…早く止血しないと。角が引っ掛かっている、落としてしまおうか。塩ってやつはやっぱりしょっぱいんだよな。せめて全部連れ帰ってやりたかった。鋸で木を切るときに昔手を切った。この鉄錆び、なかなか落ちねぇな。この指で俺はあいつに。シチューを食わせてやりたかったんだよね。傘を差すのは雨が降ってるからさ。あぁ、なんで冷えちまうんだ。ちょうどいい足場があるじゃねぇか。いいテーブルだろ、結構いい値段したんだこれが。新婚生活なら、始める前にまず家の物を整えなくちゃね。謝罪はしっかりしないとさ。切っ掛けなんて関係ないんだ。この肉はなかなか旨いね。なんていうか、晴れすぎて悲しいくらいだ。俺は地面に手を突いた。記念日だから奮発したんだよ。私の部屋には誰もいない。肉ってやつは沢山の繊維で出来ててさ、ぶちぶちって千切れるんだよね。這い上がろうとする手には小さな宝石が煌めく。やぁねぇ物好きなんだから、そんなごみ捨てちゃえばいいんじゃない?守りきれないものが沢山指の隙間から零れ落ちることを、俺はよく知っている。羊の目ってやつは怖いね、死んでるからかな。お星さまになった、って言うんだ。それがひどく寂しくなって私はどこかへ駆け出す。ここら辺さ、最近地震多いよな。羊は癖が強いからな、好きになれるかは人次第。あーもう、またグラスに罅入ってるよ。落ちた皿が割れて、残っていたソースが床に飛び散った。星座のひとつになっちゃえば近くに仲間がいっぱいいる。嘘は吐かない方がいいよ。落とし穴を掘りたいんじゃないってば。後悔先に立たずって言うじゃない?じゃーん、私には超能力があるんです。あんまり食器で遊ばないでね、ご飯食べれなくなっちゃうよ。ほしのおうじさまってあるじゃない?大きくなったら結婚しようね。星空を秘密基地から眺めるのが好きだった。羊肉って私は嫌いかなぁ…あ、でもこのシチューは結構美味しい。曲がったことは嫌いだけど曲がったスプーンは好きなの?匙を投げられてしまった。あの頃を思い出すと穴に入りたくなっちゃうから。…そんな約束したっけ?大人になんかなりたくないかも。煮込み過ぎだよ、どろどろに溶けちゃってる。こんな汚泥の中に閉じ込めてしまうのか。もしかして、怒ってる?草むらががさって動いた。ドッキリが本格的すぎるよ!心臓止まるかと思ったじゃん。どうして動かないんだろ、エンジン壊れちゃったかな。置いてかないでよ、歩くのはやいんだから…。へへっ、また一番!人生ゲームは私のが上手みたいだねぇ。へぇ、短距離走やってたの?瞬発力すごいね。羊ってもこもこしてるよねぇ、羨ましい。考古学好きなんだ、懐古の情みたいなやつ?プレゼントなんかで脅かした帳消しにはならないんだから!!あったかいシチューがいいな。宣言します、私は来世では羊になる!嘘つきの少年はとうとう狼に羊を食べられてしまった。そっか。
俺は羊肉をよく噛んで飲み込んだ。
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