用語解説
【地球】
西暦2222年。20XX年に魔物に襲撃され文明が大きく後退するが、2145年に門で繋がった異世界からの支援をうけ反転攻勢へ。文明を2000年代初頭くらいに立て直している。
魔物が現れて間もない頃、当時の近代兵器を用いた戦乱によってユーラシア大陸のほとんどは人の住めない地域となってしまっている。
そのため、英連邦、南北アメリカそして日本が主な国家となっている。
特に日本は異世界との門が繋がった場所でもあるため、外交的に強い。さらに日本人は、一度は文明が滅んだとしてもDNAにはオタク気質が染みついているので、異世界からもたらされる魔法技術への適応が早く練度が高い。
【魔導国家アステリオン】
500年前に勇者を召喚し、魔王に立ち向かった。勇者は魔王の討伐に成功するが、魔王は死に際に108個に魂を分割し、時空を超えてほかの世界を侵略している。そのためアステリオンは異世界への
【フェルトマイアー家】
アンナの生家にしてアステリオンの武門の名家。勇者の血と志を受け継ぎ、『弱きを助け強きをくじく』を家訓に、民にも分け隔てなく手を差し伸べる。
【エルドラード家】
セレーナの母親の生家にしてアステリオンの慈善事業家。『民の幸せ無くして国の幸せ無し』の志で、貧しい者への援助を惜しまない。
【日本】
魔物の侵略によって生活圏を狭められてしまっている。高専やその他学校を中心とした学園都市ごとにアーコロジーを形成して、高専と高専の間の地域を魔物からの解放・奪還を目指している。
日本国内だと、北海道東エリア・福島から新潟・神奈川~山梨~長野・紀伊半島・四国が魔物の生息圏となっている。
2222年時点の日本の人口はおよそ4000万人。ここ50年間はずっと増加傾向。一時期はかなり文明レベルが後退したが、異世界と繋がることで魔力を使って生活インフラを復旧させたり、魔力をエネルギーとして活用することで、2000年代初頭の水準に持ち直している。
とりわけ電気ガス水道は魔導機関によって代替できている。これらの魔導機関は魔力がない人であっても、魔物から得た魔核を転用した電池みたいなもので動かすことができる。
そうした魔導機関を活用して、食品プラントを稼働したり工業製品を作ったりして、多くの人は仕事・生活をしている。
戦闘中に落としてもすぐ壊れないよう通信端末は二つ折りが主流。
日本も世界も大ダメージを受けているが、それでも日本語を話し日本円を通貨として使い、スイッチ一つで電気がつき、火をおこし、お湯も使える。テレビやラジオは毎日放送され、インターネットもつながる。
【
異世界と地球をつなぐ門は琵琶湖上空に位置している。
この門を維持するために、琵琶湖の島々にゲートストーンを設置している。このゲートストーンに効率的に魔力を吸わせるために、年に二回、高専は後述する対抗戦を開催している。
【魔導高専】
日本国内には七校の国立魔導高専と六校の私立魔導高専がある。
国立は東京・北海道・宮城・愛知・京都・大阪・福岡にある・
私立は青森・石川・茨城・静岡・広島・鹿児島にある。
征華女子魔導高専は計十三校ある高専の中で唯一の女子校。静岡県沼津市にある。
高専なので16歳から20歳まで在籍することになる。定員は各学年200名で全校生徒の上限は1000名となる。ただし負傷したり命を落としたりと高専を去る者も一定数存在する。全寮制。
入学した生徒は高等教育と並行して近接武器による戦闘訓練や魔術の行使について訓練し、魔物の討伐や魔導犯罪の取り締まりを行う魔導士として鍛錬を積む。
防衛大と違って給金は出ないが、魔物を討伐することで得られる魔核を提出することで、そのサイズに応じた報奨金が得られる。
【
1年生入学時に3年生が一人、指導役として面倒をみる制度。場合によっては後輩を亡くした4・5年生が指導役につく場合もある。女子校である征華女子魔導高専独自の制度。
【対抗戦】
3月と8月に琵琶湖上空に魔術的に作られたフィールドを舞台に行われる、高専生による大会。3月はペア、8月はシングルで行われる。
これは魔力を持たない人に向けたエンタメ的側面のほかに、高専のアピールという商業的側面もある。本来の目的は、先述のとおり異世界と繋がる門を維持するために、魔術を行使することで魔導士から放出される魔力をゲートストーンに効率的に吸わせること。
【属性魔法】
魔法は炎・水・風・雷・地・氷・光・闇の8属性あり、それぞれの属性が1~8の階梯レベルに分かれている。レベルについては発動に要した魔力の総量で計測される。
魔導高専に入学できるレベルの学生であれば、いずれか一つの属性に関しては、卒業時までには第六階梯までは扱える。もっとも、戦闘で使用するには第七階梯以降の魔法は範囲があまりに広く周囲に被害を及ぼすので滅多に使用されない。小型の魔物なら第二階梯、中型なら第四、大型でも第六階梯が使える学生が複数人いれば十分に戦える。
8属性を第八階梯まで使える魔導士はいないが、上位層の学生であれば複数の属性を第六階梯まで使える人物もいる。
回復に関しては専用の属性があるのではなく、それぞれの属性に分散している。そのため、回復を専門とする魔導士は貴重。多いのは炎・水・光のような浄化の要素を持った属性か、地・氷・闇のような鎮静の要素を持った属性で回復を行う。
授業では、第四階梯までは体系立てて学問として教わることができる。
第五階梯以上の魔法については理論こそ教わるが、術者のイマジネーションをいかに現実に落とし込むというか発現させるかという、個人の力量に左右される。そのため、人によっては詠唱をしたり、それを魔導書にしたり、媒介や触媒を使ったりして、補助している。無論そういった補助なしに高位の術を使える者もいる。
【固有魔法】
属性魔法の属性に分類されない超能力じみた魔法の総称。瞬間移動とか重力操作とか。属性に分類されないだけなので、固有魔法の効果が似通って発現することはよくある。
固有魔法に覚醒するのは二割前後。しかもそれが実戦レベルの能力であるのは数%程度である。ある程度は実戦に耐えられるような能力であってもノーリスクノーコストノーデメリットということは極稀である。
【魔力】
世界に漂う魔力は、実は異世界と繋がる前からずっと漂っていたもので、中世の魔女や稀にいる「気」を操るような超能力者っていうのは、実際にいたらしい。
それが、異世界と繋がったことで(というか魔王の魂の一部がやってきたことで)とんでもなく濃くなっているというのが2222年の地球。人間を含め多くの動植物も魔力を有する。ただし、人間以外の多くの動物は魔王の魂による邪悪な魔力によって、魔物へと変貌してしまっている。
また、人間の宿す魔力の中枢は丹田へその下にあるとされている。おおむね第二次性徴から発露し、二十代でピークを迎え、三十代で減衰し個人差はあれど四十代も半ばをすぎると戦闘には堪えない魔力量となってしまう。実際には人間の魔力は性器と深い結びつきがあり、魔力量や魔法を使う素質が血統に左右されやすい理由となっている。
もっとも、魔導士は近接武器を用いた肉弾戦もするため、武道でよくつかわれる概念である丹田を意識させるのは魔法を行使する上で効率がいいので、丹田が魔力の中枢と教える高専が多い。
ちなみに魔力は指紋と同じく万人が異なる波長をもっている。
【武器】
魔力の籠った金属によって鍛造された刀剣類。銃砲類もあるいが、遠距離攻撃なら魔法があるし、弾丸一つ一つを魔術的に処理するのでコストが重い。弓矢も似た理由から使い手は少ない。一部の魔法とは相性がいいので、使う人が全然いないというわけではない。
武器にはそれぞれ異世界の鉱石によって作られたコアが嵌められている。普段は異世界の技術でコアだけの状態になっており、持ち運びに便利。コアに魔力を注ぐことで武器形態となる。また、このコアに注がれた魔力で所有者を特定している。また、コアを通して武器に魔力を注ぎ込むことにより、強力な技を放つこともできる。
なお、コアが破壊されれば武器は機能停止に陥るがコアより人体の方が脆弱なので、そんな攻撃をうければ使用者が先に戦闘不能になる。
【序列】
校内戦や対抗戦、魔物の撃破数、はては筆記試験の成績も加味して序列が策定されている。全校生徒約1000人中、上位300位まで公開される。
生徒会は新4年生で最も高い序列の学生に指名権が与えられる。自ら生徒会長になるもよし、誰かを個人的に任命するもよし、選挙をするよう丸投げするもよし。序列は4月7月10月1月の年4回更新される。
高いことに抜群のメリットがあるわけではないが、序列1桁はシングルナンバーとして憧れの的である。
まず序列が公表されるレベルまで強くなることが2年生くらいまでの目標になる学生も多い。
また強い上級生の妹になると生存確率が上がるので下級生からの人気も得られる。
【征華学生寮】
寮は二棟あり本館と別館に分かれる。本館は「工」のような形をしている。2222年現在は北棟に1・3年南棟に2・4年が生活している。5年生になると別館に移る。
本館は5人部屋で別館は4人部屋。同室のメンバーは戦闘時の班でもある。
部屋の広さは12畳。二段ベッドが3台と座卓が一つ、収納がある。
「工」の縦棒のところに共用部があり、玄関や食堂、ランドリールームに大浴場などがある。
高専には授業が休みである夏休みや冬休み、春休みがあるが、長期休暇中といえど魔物は現れるので寮生は部屋ごとに一週間の休みを取る。それ以外は寮に残らねばならない。対抗戦の時期でもあるので、現地や寮で応援したり、学内の訓練場で模擬戦をしたりして過ごす。
【制服】
制服はグレーのブレザータイプ。スカートはひざ丈。ふわふわしたデザインというよりは、カチッとした形をしている。スカートとスラックスは選択式。リボンとネクタイも選択式。リボンやネクタイの色は臙脂。校章は双剣とつつじの花。
制服は魔力を込めた特殊繊維で織られているので、防刃防弾性能がありさらに魔法にも一定の耐性がある。
ある程度の耐性にすぎないので、強力な魔物と戦闘すればボロボロになる。戦闘装束なので高専から支給される。制服の改造についてはあまり咎められないが、防御性能が落ちるような改造はご法度。例えば袖を全カットするとか。
正装としては短杖を佩くためのベルトを着けねばならない。なお短杖は魔法の発動補助のほかに魔力を持たない暴徒を弾圧するときに使用する。30cmほどの棒だが、殴られると太い木刀と同じくらい痛い。
【2215年の惨劇】
諏訪の決戦と呼ばれる大規模戦闘。私立竜胆魔導高等専門学校 (通称:信州高専)が大量の魔物に襲撃され壊滅した。
静岡・愛知・京都・大阪・石川から最精鋭クラスの魔導士を投入して鎮圧した。
【2220年の悲劇】
諏訪の決戦ほどではないが、征華にとって大きな被害をもたらした一戦。前年に御殿場襲撃戦で魔物の巣を撃滅し、そこを足掛かりに東京高専横浜分校と共同で箱根・小田原を攻めたが作戦の詰めが甘かったり天候が荒れたり想定外の大型魔物が現れたりという結果、横浜分校は壊滅。征華からも当時の主戦力である3年生から多くの戦闘不能者を出した。
現在の3年生の中には姉を喪った者も少なからずいる。そのため、この小田原挟撃戦の失敗は高専にとって根深い傷となっている。
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