第2話 その程度の顔でうぬぼれてるとは、幸せなかたですね。
「くっくっく。驚きと絶望の余り間が抜けた反応しか出来ぬようだな!
オレ様のような素晴らしく見目麗しく人気者の特別な男に捨てられたとなれば、女として失格の烙印を押されたも同ジッ!
たっぷりと絶望を味わうがイイッ!」
私は蒸し鶏を味わっていたかったんですけど……。
この人は、自分の整って美しい顔に、私も含めた女達はメロメロだと思い込んでいるのです。
確かに、波打つ艶やかな金髪、整った顔立ち、背が高く脚も長くて、全身ビシッと白で固めた凜々しい姿、童話の王子様みたいです。
ですが、見てくれだけの傲慢な勘違い男と火遊び以上の関係になりたがる女なんて滅多にいませんよ。
それに、私にとっては、貴方の顔なんて目鼻がくっついてるイタズラ描きのへのへのもへじ程度です。
身近にもっと魅力的な顔がうろついているので。
だからこそ幾ら浮気されても、将来白い結婚でも何とも思っていなかったわけですけど。
「そもそも!
成り上がりの伯爵家の娘ごときが汚れた金を
お前らのような卑しい生まれの成り上がりは、高貴なオレ様達に貢ぐのが当然なのダァッ!
高貴な血筋に全裸土下座して金を差し出すことに喜ぶべきなのダ!」
あ。こんな哀れなバカでも、うちが金持ちなのは判っているようですね。
確かに、うちの実家マグデルグ伯爵家は、国で5本の指に入るお金持ちです。
といっても、曾祖父の代までは、平民でした。
『上昇! 上昇! 上昇!』をモットーに行商人から大商人へのし上がった曾祖父リヒターが、莫大な持参金つきで有能な娘を送り込んで乗っ取ったんです。
確かに成り上がりです。才覚で成り上がりました。それがなにか?
それに、今まさに侯爵の家柄を暈に着て、さんざんデカい顔をしてるのは、貴方ですよ。
「金で愛を買うなど卑しい! 卑しすぎる!
オレ様は金に尻尾を振るパパンやママンとは違うのダッ!
金の腐臭がするお前など選ばん! 高貴なる魂を金でなど売らン!」
「はぁ」
魂なんていう一銭にもならないもの、売られても買いませんてば!
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