短い話集

第1話 伏線

　最近公開された映画が叩かれている。普通の学生の友情物語が進む中、画面が白くパッと光るとそのまま映画が終わるのだ。映画の中に散りばめられた伏線は投げっぱなしで主人公たちの物語の結末もわからない。クソ映画だ。

　監督が記者のインタビューに答えている。「ラストシーンは、何気ない日常を過ごしていた彼らが、某国が使った核兵器によって死んでしまったというのを表しているんだ。」「映画の中で戦争の描写や、このようなラストの伏線は見受けられませんでしたが。」「君たちは何もわかっていない。平和ボケしているんだ。今この瞬間にこの世界だって滅んだっておかしくないんだ。いいか？現実には伏線なんてものは存在しな