第179話・帝国争乱?・その二
「やはりバルバドス殿下の行く先は、サミラス殿下の艦隊でしょう」
「ところでさ。レーダーも通信機もないのに、どうやって敵を捕捉してるの?」
「不明です。ただ遠視の魔法等はありますので、魔法技術による捕捉だと推定されます」
気になるのはバルバドス皇子の動きが早くて正確なことか。レーダーも通信機もないのに動きが早すぎるのが不気味だ。
バルバドス皇子が率いてるのは八隻の空中艦。こちらは戦闘艦ばかりが八隻だけど、仮にも第一皇子だと考えると決して多くはない戦力だろう。
サミラス皇子の艦隊は兵員を輸送もしてるので、空中戦で戦えるのは半分程度。ただそれでも戦力は三倍はあるはず。
兵器の優劣とか新型旧型とか差はあるんだろうけど、それでもバルバドス皇子が勝てるとは思えんのだが。
「サミラス殿下に警告するべきだよな。なんか方法はある?」
「帝国軍では艦隊運用の際に、発光信号による通信が行われてます。それを用いて警告しましょう」
ともかくオレ達はサミラス皇子の艦隊との合流を急ごう。
「あれか。なんか先に言ってるみたいだけど?」
「軍事行動中につき離脱するように、発光信号で警告されてます」
「あれまあ。とりあえずジョニーさんの名前で警告出して」
「了解しました」
小型の戦闘艦を飛ばしてサミラス皇子の艦隊が目視出来るとこまで来たけど、先に警告されちゃったよ。
本当はこの戦闘艦も秘匿したいんだけどね。何かあればジョニーさんのせいにしちゃえばいいか。
「直接話したいと返信です。如何しますか?」
「嫌とも言えないよね。バルバドス皇子の艦隊との会敵は?」
「会敵予測時間まで二時間半です」
「じゃあ、大丈夫か。了解したと返信して。小型のシャトルでこちらから向かう」
うーん。困ったな。お偉いさんと会うのはジョニーさんの役目なのに。
「わらわも行こうか?」
「いや、この船に居て下さい。向こうの船にバルバドス皇子のスパイが居ないとも限らないので。この中なら安全ですから」
とはいえサミラス皇子に死なれると困るしなぁ。オレが会うしかないか。
ミリーはダメだよ。サミラス皇子本人はともかく、周りがどれだけ信用できるか分からないんだから。
「ウフフ。いよいよ、私達の出番ね!」
「悪い皇子をやっつけるのだ!」
「ルビー、サファイア。話し合いに行くだけなんですからね」
「了解でーす!」
というかエルさんや。ルビーとサファイアも連れていくんですか?
ルビーとサファイアは、念のために連れてきた戦闘型アンドロイドだ。アンドロイドとしては比較的新しい部類に入る二人だ。
容姿は名前に合わせて、そのまま赤と青の髪のショートヘアで、設定として双子で造った。
見た目の年齢は中学二・三年くらい。こちらはケティがいつまでも自分が一番年下に見えるのが、嫌だって言うからさ。
容姿は戦闘型アンドロイドにしては珍しく、可愛らしい感じにした。ジュリアとかセレスとか、戦闘型って戦士とか軍人っぽい人多かったからね。
能力としてはアンドロイドなので問題ないんだけど、この二人の場合は性格が戦闘向きじゃないから、実戦経験あんまりないんだよね。
なんというかアニメに出てきそうで、リアルには居そうで居ない女子中学生みたいな性格に……。
アンドロイド造って育てるのって、案外むずかしいんだよ?
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