第145話・食後のひととき
「監視が消えたね」
食後はロボとブランカの散歩を兼ねて、帝都内の公園にきている。
帝都内は犬や猫のペットに従魔などの魔物は、基本的に飼い主の責任において連れ歩いてもいいらしいが、放し飼いはあまりいい顔をされないみたい。
なのでうちのお嬢様達が二匹のリードを握り散歩をさせているけど、見知らぬ公園にちょっと興奮ぎみの二匹に二人が振り回されてるよ。
「監視の代わりに暗殺者が来るとか無いよね」
「流石にそれはないかと」
ただ昨日から周囲に居たジョニーさんを監視していた連中が突然居なくなり、オレ達は少し困惑していた
監視されてるのも嫌だけど、監視が消えたのもなんか不気味だ。
うーん。でも下手に動くと、こちらの正体がバレる危険もあるしな。
下手に動かない方が身のためか。
「それと賞金稼ぎのような者が先程から隙を伺ってます」
「ああ、例の金貨三百枚のやつか。それはジョニーさんにお任せで」
有名人は忙しいね。国の諜報員みたいな監視が居たかと思えば、今度は賞金稼ぎか。
「そういやヒルダさんって戦えるの?」
「うーん。それなりに戦えるって聞いたけど? PKKやってたくらいだし。でもうちが直接共闘したり戦ったことはないよ」
「彼女にも武器くらい渡しといた方がいいな。レーザーガンはエネルギー切れだったんだろ?」
「そうですね。手配しておきます」
ジョニーさんは補給さえあれば一人で十分だけど、このままだと死神さんが巻き込まれるんだよね。
一応海賊服型の宇宙服着てるから、防具は不要だろうけど丸腰じゃあね。
大人しく後ろで待ってるタイプには見えないしさ。
「ねえ、アレックス。ロボとブランカが、怪しい人が居るって言ってるみたいなんだけど」
「あそこの木の影じゃな。敵だと言うておる」
「それはジョニーさんのお客さんですよ。賞金首の勇者様ですから」
そのまましばらくロボとブランカの散歩を公園のベンチに座り眺めていたけど、お嬢様達が二匹を連れて戻ってくると近くに敵が居ると少し緊張した表情で教えてくれる。
ジョニーさん本人はすでに気付いてるみたいだし、ロボとブランカも気付いたんだね。
しかもミリーお嬢様は二人と会話できるから、内容まで正確に分かると。
いいな。覇王スキル。
「しかし勇者殿に金貨三百枚は少なくないかの?」
「その辺りが手頃なんですよ。考えても見てください。金貨千枚や一万枚なんてかけたら、それだけ危険だと二の足を踏みますから。一種の嫌がらせの類いでしょうね」
運動してすっきりした表情のロボとブランカは仲良く伏せて休憩したので、お嬢様達も休憩するみたいでミリーお嬢様がふと疑問に感じたジョニーさんの賞金額について尋ねてきた。
確かにジョニーさんの賞金にしては安すぎるよね。
ただそれに答えてくれたのはマルク君だ。
「あの手の闇の賞金は低い額から始まり、返り討ちにする度に上がるんだそうです。ある程度賞金が上がると、誰もやりませんからね」
「ふーん。じゃあジョニーも大丈夫そうだね」
「男性ですと高額になって一番危ないのは、見知らぬ女だと聞いたことがあります。さりげなく近付き、一夜を共にしてその隙にというやつです」
「男って奴はスケベだからねぇ」
あの。みなさん。何故そこでオレを見るんです?
オレ賞金首じゃないですよ。見知らぬ女の人と一夜を共にしても居ませんし。
男ならマルク君とか、新婚さんの旦那さんとか居るじゃないか。
何故女性陣の視線はオレに集まるの?
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