第146話・また襲撃者が……
「へっへっへっ。見つけたぜ。空の勇者様よお」
散歩も終わり広い公園から少し裏通りの人気のないとこに行くと、前後を挟まれるように怪しい人達に囲まれちゃった。
いや、ジョニーさんがウザいから、さっさと襲わせようなんて言うから。
「おっと下手に動くと、そっちの女子供がどうなっても知らねえぜ?」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべる怪しい人達に囲まれたオレ達だけど、みんな無言で固まってるように見えるだろう。
でもね。お嬢様達とか新婚さん達は、目が恐怖ではなく好奇心でわくわくした様子なんだよね。
それに気付かない時点で三流だろうな。
「兄貴! そっちの女やっちまっていいか!」
「オレはそっちのお嬢ちゃんがいいな」
「ハアハア……」
「馬鹿野郎! 仕事を終えてからにしやがれ!」
うん。ちょっと汗というか獣臭い。
ジョニーさんが盗賊は臭いと言ってたけど、確かに臭うね。
欲求不満なんだろうけど、早くも誰がどの女をヤるかで話すのは本当に馬鹿っぽい。
ところでクリスお嬢様とミリーお嬢様まで狙うのは、どうなのよ?
異世界にもロリペドが居るとは。
「あの、皆さん。殺さないで下さいね。流石に帝都内で殺しはまずいですから」
「安心しなよ。坊っちゃん。あんたは特別だ。身代金が来るまで生かしといてやるぜ」
違う。マルク君が注意したのはあなた達じゃない。
意味深な笑みを浮かべる、ジョニーさんと死神さんとジュリアに言ってるんだよ。
「チッ。仕方ねえな。オレはそっちの胸のない女にしとくか」
あっ。その台詞は駄目だよ。ケティが臨戦態勢に入っちゃったじゃないか。
「死ねぇぇ!!」
「駄目だな。零点だ。脅迫したいなら、もう少し言葉のボキャブラリー増やそうぜ」
ジョニーさん。こんな時にチンピラに何言い出すんですか。
「汚い手でアタシにふれるんじゃないよ!」
あかん! 死神さん。股間を思いっきり蹴りあげたら、使い物にならなくなるって。
見てるこっちが痛くなるよ。
「貴方もあの人みたいに、なりたい?」
あのケティさん。首をそんなに掴んだら返事出来ませんよ。
股間を蹴りあげる練習しなくていいから。
男の人もう泣きそうだよ?
ジュリアまで真似して股間を蹴りあげてるし。
「何だこいつら!?」
「そこの一番弱そうな奴を人質に取れ!」
一瞬で半分が戦闘不能になった襲撃者達は、流石に焦ったのか人質を取ろうと……。オレのところに来た。
一番弱そうなのオレなの?
「あっ。ごめん。つい」
迫り来るのは臭い襲撃者五人ほど。
エルが一人で四人瞬く間に倒したので、オレの前に来たのは一人なんだけど、さっきからみんながやってるの見てたら、ついやっちまったよ。
靴の上からも分かる、めり込む感触が気持ち悪い。
二度とやるまい。
「……て……め……ぇ……」
「大丈夫。無くても生きていける」
股間を押さえながら悶え睨む襲撃者につい謝っちゃったけど
、ケティが止めの一言を発すると襲撃者のリーダーは逃げ出した。
「ダメだぜ。あんちゃん。仲間見捨てちゃあよ」
「知らなかったの? 勇者からは逃げられないのよ」
だめだ。勇者様と死神さんからは逃げられない。
ところで死神さん。それ某懐かしの漫画の台詞ですね。
絶望する襲撃者のリーダーを見つめる死神さんの表情には、オリジナルのあの御方みたいな迫力が。
PKKやってたみたいだから、こんな連中の心折るの得意なんだね。
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