第141話・問題山積み
「現在帝国軍は総力を上げてミレーユ様を探してるようです」
「帝都は?」
「皇宮は警戒厳重ですが、帝都自体はそうでもありません。宿屋などは探してますが、市民にあまり騒ぎを知られたくないのでしょう」
マルク君の家族と色々話したその夜、オレはエルとジュリアとケティとで皇女様の方の情報の確認をしていた。
皇女様から借りた皇宮の鍵は、ちょっと調べたいからと皇女様の許可をもらい、宇宙で皇宮の魔法障壁とやらと一緒に調べてる最中だ。
帝国側も馬鹿で無ければ、母を助けに戻ってくる可能性くらいは考えてるだろうしね。
皇宮の鍵はそのまま使うのはちょっと危険すぎる。
「そう考えると現状は悪くないね」
「帝都では空の勇者が来たと話題になってまして、この屋敷の外には監視の目があります。しかし、ミレーユ様の捜索とは別でしょう。何をするか分からぬジョニーさんを、監視しているようですね」
結局帝都は意外に安全なのが判明したけど、ジョニーさんは迂闊に動けないか。有名人は大変だね。
「これが皇宮の見取り図なのね」
「具体的に何処が何の部屋かは、ミレーユ様達に聞かねば分かりませんね」
調査はこの半日余りでも進んでいて、特殊なカメラやセンサーにて皇宮内の何処に空間があるかを調べ終えており、皇宮内の見取り図を完成させている。
問題はうちの技術だと、魔法的なセキュリティを調査する技術が未だ未熟だということだろう。
皇宮を守るのが魔法障壁だけのはずはなく、内部も相当なセキュリティがあるはずなんだよね。
それが分かるまでは迂闊に潜入させられないよ。
「問題は皇帝陛下がクズだった場合と、実権がない場合なんだよね。母親を助けた後に故郷を狙われたら、どうするか考えないと」
「ダークエルフの故郷は帝国の自治領です。辺境なので互いに干渉することもなく、今まではそれなりに上手くやっていたようです。現皇帝が側室にダークエルフを入れるまでは」
「女好きな皇帝の不始末か?」
「帝国内も一枚岩ではありませんからね。現皇帝はダークエルフなどの亜人との融和と、更なる交流を推進しました。それは一定の成果を上げてますが、人族優位に考える貴族の派閥からは嫌われてます。第一皇子と現宰相が同派閥のトップで、現在は主流派ですね」
「皇帝の派閥は?」
「存在します。しかし、ここ数年皇帝が体調を崩して以降は、第一皇子の派閥にかなり露骨に人が流れてますね。覇王スキルのことは王家の機密らしく、知るのは王族と最上位の貴族だけのようです。従って貴族のほとんどは、次代は第一皇子が帝位を継ぐと見てるようですから」
皇帝も信用ならんが第一皇子も微妙だね。
帝国貴族は最早、皇帝は長くはないと見てるんだろうか。
「第一皇子に対抗する帝位継承者は居ないの?」
「表だって対抗してる人は居ませんね。文武両道に優れた人格者だと、貴族ばかりか世間でも評判です。亜人に関しては特に発言はしてませんが、以前のように互いに関わらぬようにしたいというのが、同派閥の方針のようです」
うーん。なかなか攻略の糸口が掴めないね。
皇女様には皇帝は無理だろうし、誰か理性的な皇帝候補でも居ればと思ったんだけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます